2022年度 No.4「被災条件別の帰宅困難者対策」
-
ご登録済みの方は
2023.4.1
要旨
- 東日本大震災の教訓を踏まえ策定された内閣府「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン(平成27年3月)」の記載内容について、近年発生した地震の教訓を踏まえ、見直しの動きがある。
- 本稿では、内閣府や自治体等における見直しの動きを踏まえ、企業における帰宅困難者対策の見直しのポイントを整理する。
1.行政における帰宅困難者対策の現状
東日本大震災では、首都圏において鉄道の多くが運行を停止するとともに、地震の発生時刻が平日日中であったことと相まって、約515万人(内閣府推計)に及ぶ帰宅困難者が発生した。帰宅困難者が徒歩で帰宅した場合、群衆流れ等の二次被害にあう危険があるだけでなく、歩道から人があふれることで、緊急車両等の応急活動を妨げる恐れがある。
この教訓を踏まえて設置された、「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会」の最終報告(平成24年9月)等をもとに、内閣府が大都市圏における「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン(平成27年3月)」を策定した。
本ガイドラインの前提となる被災条件は、大都市圏においてマグニチュード7クラス以上の地震が、帰宅困難者等が最も多く発生すると想定される「平日昼12時」に発生するという、過酷な条件を前提として想定している。そして、この過酷な条件を前提に、大都市圏内の鉄道・地下鉄は少なくとも3日間は運行の停止が見込まれるとして、発災後はむやみに移動を開始しないとする「一斉帰宅抑制」を事業者に求めている。
会員登録で レポートを全て見る
ご登録済みの方は