社員の帰宅に関する対応の見直しについて【BCMニュース 2011年 第1号】
2011.4.1
1. はじめに
東日本大震災での反省を踏まえ、帰宅方針の考え方などの対応を見直す企業が増えている。
地震発生からおよそ1.5ヶ月経過し、3月11日の帰宅困難に関する問題について、様々な機関の調査結果が発表されてきている。また、弊社でも独自に帰宅困難に関する社内アンケートを実施し、この問題に関する社員の意識の分析を行った。
そこで、本稿ではこれらの情報を基に、今後、発生が懸念される首都直下地震等の災害を見据え、社員の帰宅に関し、どのような準備が必要であるのかについて、考察する。
2. 3月11日の人々の帰宅状況と帰宅理由
東日本大震災発生当日、首都圏の鉄道各路線は一斉に運転が停止した。最も早く運転再開した路線で地震発生からおよそ6時間を要し(時刻にして午後9時ごろ)、終日運休となる路線もあるなど、帰宅の足に大きな影響をもたらした。
内閣府中央防災会議[1]によれば、1都3県(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県)で通勤・通学に公共交通機関を利用している人々は、1日当りおよそ480万人である。このため、今回の地震において都内各所で見られたように、鉄道の停止はもとより、間引き運転でさえも多くの人々が通常通りに通勤・通学できなくなった。また、今回の震災ではその後に、電力不足により、間引き運転や一定期間の運行停止が継続し、通勤・通学の足に少なからず影響を与えたことは記憶に新しい。
それでは具体的に、東日本大震災発生当日、鉄道網の混乱の中で、どの程度の人々が自宅に帰ろうとしたのだろうか。図1は災害と情報研究会(東洋大学・東京大学)と株式会社サーベイリサーチセンターが共同で実施したインターネット調査(回答者数2026人)の結果[2]である。これによれば、回答者のおよそ80%の人々は交通状況が混乱しているにも関わらず、自宅へ帰ると判断していたことがわかる。
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