中小企業向けBCP策定の普及促進取り組み事例と課題【BCMニュース 2011年 第2号】
2011.5.1
1. はじめに
本年3月11日に発生した東日本大震災により、被災地はもちろんのこと、非被災地においてもサプライチェーンに組み込まれている他企業の事業停止、計画停電などの事業の継続を妨げる様々な事象が発生して、対応に苦心されている企業が多くおられるものと想像する。
このような事態に備え、行政等より従来からBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定しておくことが強く推奨されてきている。実際にこの度の大震災に際しては、BCPを策定していた企業より、「BCPが機能した」との声を多数耳にしている。また、新聞等でも「BCPを策定していたことにより速やかな復旧を遂げた」事例が報じられている。
一方、特に中小規模の企業では、BCPの策定状況は13%程度に留まっており、「策定予定なし(17%)」、あるいは「BCPを知らない(49%)」とする企業も多い(2010年3月内閣府公表「企業の事業継続及び防災の取り組みに関する実態調査について」より)。よって今回の大震災では、多くの中小企業は、BCP等の文書類を拠り所とせず、その都度の状況判断により対応せざるを得なかったと推察する。
このようなBCPの未策定企業では、今回の震災を教訓にBCPへの取り組みの検討を始めたところが.なくないのではないだろうか。あるいは、既にBCPを策定している企業においても、不備・不足事項が明らかになり、見直しを検討しているところが多いかと思う。
筆者は昨年度、BCPの普及促進のため、各地において中小規模の企業を中心にBCP構築の取り組みへの支援を実施した。本稿では、効果的であった取り組み手法を紹介しながら、取り組みを通じて感じた、中小企業が直面する悩みや解決策等について解説を加えてみたい。
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