レポート/資料

号外 2012年度 No.8 「中国におけるデモ・暴動の概要と、日系企業の対応について」

2012.10.1

1. 尖閣諸島の国有化を契機として発生したデモ・暴動の概要

2012年9月10日に日本政府が尖閣諸島の国有化を閣議決定したことを発端として、中国の多くの都市で反日デモが発生しました。デモは主にソーシャルメディアや携帯電話のSMS等を通じて呼びかけが広がり、日中戦争の発端となった柳条湖事件の日にあたる9月18日には、中国全土の100以上の都市でデモが発生しました。また、デモ隊の一部は暴徒化し、日系企業の建物や製造設備が破壊・放火されたり、百貨店等が略奪に遭うなどの被害が出ています(表1をご参照)。

今般のデモ・暴動では物理的な被害が発生しただけではありません。日本製品の不買運動が広範に呼びかけられたり、デモ・暴動に便乗した一部の従業員によるサボタージュが発生しています。さらには、対抗策とみられるような措置により業務の円滑な遂行が少なからず妨げられるなどの影響も報告されています。

なお、このような日中間の外交上の問題によるデモ・暴動は、近いところでは2005年3月~4月、および2010年10月にも発生しています。2005年のデモ・暴動は、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝等に起因して発生したもので、成都では日系小売店が襲撃を受けたほか、上海でも領事館や日本料理店が被害を受けました。また、2010年のデモ・暴動は、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した事件に端を発したもので、成都、西安、重慶等の内陸部を中心に大規模化しました。これにより、日系小売店や日系スポーツ用品店が破壊されました。

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