
2019年度 No.11「セントラルワールドの火災」
2019.4.1
1.火災の概要
2019年4月10日の夕方、バンコク中心部に位置する複合商業施設「セントラルワールド」で火災が発生しました。セントラルワールドはセンタラ・グランド・ホテルに隣接し、ショッピングセンター、オフィス棟、コンベンションセンター、駐車場等で構成されています。
タイ王立工学会(Engineering Institute of Thailand: EIT)のMr. Pichaya Chantranuwatによれば、火災は地下2階にある消火ポンプ室で発生し、建物内に設置された鉛直方向のダクトを経て地上8階まで延焼しました。各階に設置されていたダクトはファイバーグラス製で耐熱性が十分でなく、8階では破損したダクトが避難口の障害になるとともに、大量の煙がフロアに充満しました。また、建物内には大量の可燃物があり、延焼を助長しました。
建物内にはスプリンクラーが設置されており同火災に対して正常に稼働しましたが、設計時に想定された火災荷重が現状に適応しておらず消火能力が不足しており、鎮火には至りませんでした。
2. 消火活動と火災による被害
公設消防隊による消火活動が5時40分から開始され、火災の発生から1時間半が経過した6時35分に鎮火しました。火災は交通量の多い平日の夕方に発生したため、渋滞により消防隊の到着が遅れました。
同火災で2名が死亡し、地下2階のポンプ室と建物内のダクトが熱、煤、煙により損傷しました。ショッピングセンターの被害は大きくなく、翌日の朝から営業を再開しています。
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