東南アジア地域におけるヒューマンファクター/安全文化の取組【アジアリスク情報 2015年度 No.2】
2015.7.1
本号は、アセアン各国における事故防止活動について、一般に公開されているデータと資料を踏まえ、今後の備えの参考にして頂くことを目的として作成するものです。既にアセアンで事業を展開されている企業の皆さま、今後アセアンへの海外展開を検討されている企業の皆さまにとって、本号が事業運営におけるリスクの再整理、さらには事業の発展に至るまで、いささかでもお役に立てば幸いです。
なお、本号では主に組織全体の課題に焦点を当て、ヒューマンファクターや安全文化といった労災事故防止のための取組についても触れています。より現場レベルでの労災事故防止策については、2014年9月1日付アジアリスク情報<2014No.2>もご参照ください。
1.産業界における事故防止活動の潮流
(1) 産業界における事故防止活動
1940年代以降、技術革新や情報革命を通じ事業活動における事故・災害の数や形態も大きく変化してきました。
インターネットに代表される情報通信技術と情報処理技術の発達は、情報を共有するコストを大きく低下させ、データ分析の能力も飛躍的に向上させました。産業界における労災や火災・爆発などの事故防止においても、自社・他社の事故事例を共有・分析し、自社の事故防止活動へ応用することが容易になりました。
過去の事故防止活動を俯瞰すると、【図1】に示す流れが見えてきます。
まずは、機械装置・製造装置そのものへの安全対策です(Hardware)。
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