
「ISO/TS31050とエマージングリスクの管理」 リサーチ・レター2024年第1号
2024.4.5
2023年10月、ISO(International Organization for Standardization)はISO/TS31050を発行した。この文書は、組織のレジリエンスを高めるために、エマージングリスクの管理にISO31000を適用するためのガイドラインを提供する。本稿では、ISO/TS31050をもとにエマージングリスクの具体的事例を挙げながら、エマージングリスクの管理ついて論考する。
1. エマージングリスクについて
エマージングリスクとは「新たなリスク(新興リスク)」である。「組織として認識していなかった事象」や「イノベーションや社会・技術の発展によって生じる事象」などが挙げられ、「新規性」や「意思決定に必要な情報や知識が欠如する」などといった特徴をもつ。
ISO/TS31050では、エマージングリスクの性質として以下を挙げている。
―認識、または経験したことがないリスク
―既存の知識が適用できないリスク
―著しく進化するリスク
―システミック・リスク(動的システム内の繋がりで発生し、発展するリスク)
―新たなリスク同士が組み合わさるリスク
その性質は不確実性が高く、複雑で掴みどころがないため、エマージングリスク管理において組織は試行錯誤しながら対応することを余儀なくされる。
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