レポート/資料

タイの渇水・洪水リスク状況 (インターリスク タイ洪水レポート 2024年 No.1)

2024.5.23

見どころ
ポイント
  • タイ気象局(TMD)は2024年5月20日よりタイの雨季が開始したと発表しました。
  • 今年の雨季のタイ全体における総雨量は平年値をやや上回る程度と予想されていますが、8~9月頃にかけて降雨が集中する予想となっており、洪水発生に注意が必要です。
  • 昨年から発生していたエルニーニョの影響による少雨状況の継続によりChao Phraya川水系の河川や主要ダム水位、および東部地域の主要貯水池の貯水量は減少傾向となっており、直近は増加傾向に転じているものの、依然として一部で渇水が懸念されるレベルで推移しています。
  • 多くの気象機関が今年後半のラニーニャ現象への移行を予想しています。ラニーニャはタイに多雨をもたらす可能性が高く、渇水傾向の状況は徐々に解消に向かうものと見られます。

降雨量

下図は左からそれぞれ、2024年1月1日~5月26日における累積降雨量(左図)、2023年1月1日~5月26日における累積降雨量(中央図)、2024年1月1日~5月26日における累積降雨量と平年値(過去30年間の平均値)の差(右図)についてのタイ国内の分布を示しています。

5月26日時点の年初からの累積雨量を昨年同時期と比較すると、南部などの一部を除いて全国的に上回る降水量となっています。特にBangkok近郊含むChao Phraya水系の中部および北部地域において昨年より降雨量が増加しています。平年値との比較では、タイの多くの地域において平年値を下回っており、平年以上の累積降雨量となっているのは東部や北部・東部・中部の一部地域です。

図:2024年5月26日時点の累積降雨量、昨年同時期の累積降雨量、平年値との差異についてのタイ国内分布図(出典:Thai Meteorological Department)

2024年の雨季の予測概況

タイ気象局(TMD: Thai Meteorological Department)は2024年5月20日にタイの雨季が開始したと発表しました。2024年の雨季は10月中旬頃の終了が見込まれ、雨季におけるタイ全体の総雨量は平年値をやや上回った2023年の雨季と同程度と予測されています(昨年の雨季の総雨量は平年値より1%多く、年間の総雨量は平年より6%多い記録でした)。

7月までの雨季前半の総雨量は平年並み程度、8月以降の雨季後半の総雨量は平年より5程度多くなる予測となっており、特に雨季後半は洪水発生に警戒する必要があります。TMDによる最新の雨季の月別の降雨傾向予測は…

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