台風10号接近 企業が今やるべき対応とは?~「防災の日」企業がとるべき備えとは①~
2024.8.27
9月1日は「防災の日」です。MS&ADインターリスク総研では、「防災の日」にあわせて、シリーズで防災対策に関する情報をお伝えします。
現在、台風10号が接近していて、気象庁は暴風や高波、土砂災害などに厳重に警戒するよう呼びかけています。
これからの時期は、本格的な台風シーズンを迎えることになります。この記事では、企業がとるべき備えについて解説します。
そもそも防災の日とは?
国が1960年(昭和35年)に、広く国民に台風、高潮、津波、地震などの災害への認識を深めてもらうことなどを目的に創設し、毎年9月1日を「防災の日」とすることを決めました。そしてその後、この日を含む1週間を「防災週間」とすることとなりました。
東京消防庁によりますと、9月1日は関東大震災が発生した日であるとともに、台風シーズンを迎える時期でもあることから、この日を「防災の日」とすることになったということです。
企業の台風対策で最も重要なことは?
最も重要なことは平時からの備えです。普段から準備をしていなければ、台風の直前に対策をとったとしても、被害を防ぐことはできません。
社員らの安全を最大限確保しつつ被害を最小限にとどめ、速やかに事業を・復旧継続するためには、日ごろからの備えが必要です。
まずは平常時より市町村等が公開するハザードマップを確認し、事業所、職場、通勤・輸送経路などの想定浸水深を確認しましょう。ハザードマップは大きな災害が発生した後には更新されることもあり、過去には想定浸水深(※)が1.5mから4mになったこともありました。ハザードマップが更新されていないか定期的に確認しましょう。
※浸水深…洪水や津波などの水害時に、地表や建物の床面から水面までの高さ、つまり浸水した水の深さを指します。浸水深は、その地域の被害の程度や、避難が必要な場所を判断するための重要な指標となります。
また、以下の表1は、平常時の対策を網羅的にまとめた「対策チェックリスト」です。こちらを参考に、施設や設備に対する物理的な災害対策に合わせて、災害時の対応マニュアルや事業継続計画(BCP)の検討を行っておくことをおすすめします。
表1 風水害 平常時の対策チェックリスト
もし台風が接近したら… 直前対策は?
- 情報の把握と共有
刻々と変化する気象情報や会社周辺の河川水位情報・潮位情報、交通インフラの稼働状況などをタイムリーに把握して、社内の関係者間で迅速に共有することが重要です。 - 被害発生の可能性があれば緊急時体制の検討も
自社の企業活動に相応の被害が発生する可能性がある場合には、速やかに災害対策本部を設置して、緊急時体制への移行を検討することも必要です。 - 安全点検や防水・止水対策も
工場や倉庫などでは、気象状況が悪化する前に、安全点検や従業資産の安全な場所への移動、建物や設備に対する防水・止水対策を行う必要があります。
以下の表2は、事前対策や事後対策を網羅的に記載した「対策チェックリスト」です。このリストを参考に、自社の状況に応じて速やかに、リスト内の対策に着手することをおすすめします。
表2 直前対策・事後対策チェックリスト
災害の情報を入手するには?
「キキクル」
国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で利用できる、災害リスク情報の可視化ツールです。さまざまな災害リスク情報を地図上で重ね合わせて表示することができます。災害対策や避難計画を作るうえで役立ちます。
「重ねるハザードマップ」
正式名称は「危険度分布」といって、気象庁が雨による災害の危険度を5段階に色分けして地図上にリアルタイムに表示するものです。災害のリスクをリアルタイムで把握し、適切な避難行動をとるための重要なツールです。
災害の激甚化 気を付けるべきことは?
近年の災害規模の激甚化に伴い、災害の後は今までの想定以上にインフラ復旧に時間がかかります。また、災害廃棄物の処理、補修資材や業者の手配などは急激にひっ迫します。加えて、被災した従業員の出社が遅れることで、事業の再開が計画通りに進まない事象も顕在化しています。
復旧計画の策定にあたっては、災害の激甚化に伴う上記のようなリスクを念頭に、あらかじめ冗長性を持たせて策定しておくことが重要です。
風水害対策チェックリストをPDFでダウンロードできます
MS&ADインターリスク総研は、去年(2023)の台風で大きな被害が発生したことを受けて、台風などの風水害への必要な備えをまとめました。下のリンクをクリックすると、風水害対策チェックリストを盛り込んだレポートのダウンロードページに移ります。
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