レポート/資料

情報開示、自然資本、人権・・・2025年度のサステナビリティ主要イベントを紹介 【サステナブル経営レポート 第25号】

[このレポートを書いたコンサルタント]

会社名
MS&ADインターリスク総研株式会社
所属名
リスクコンサルティング本部 リスクマネジメント第五部 サステナビリティ第二グループ

2025.3.5

要旨
  • 2025年に予定されるサステナビリティ関連のイベントをまとめた。注目のひとつに、国内のサステナビリティ開示基準・SSBJ 基準の最終化が挙がる。開示のあり方に加えて、体制整備も求める内容になりそうだ。
  • 生物多様性分野では、従来の「自然共生サイト」を引き継ぐ制度が規定した新法が施行になる。企業のネイチャーポジティブに向けた取り組みの後押しを強化する。人権分野でも、気候変動や生物多様性と同様の開示のフレームワークが立ち上がる見通し。既存の領域に加えて、新たなテーマへの対応が始動する年となりそうだ。
  • 気候変動対策では節目のCOP30を迎える。パリ協定から10年、対策は主眼はネットゼロ実現に向けた実施フェーズへ移行する見込みだ。

1.2025年度に見込まれるサステナビリティの動き

世界的に選挙の年となった2024年は、政治面からESG投資やDE&Iにも逆風が吹き、サステナビリティにとっても波乱の1年となった。海外では企業側の追随もみられるなど、25年も引き続き難しい局面となることが予想されるが、一方で各テーマで企業の取り組み推進は待ったなしの状況が続く。今年も目白押しのサステナビリティイベントから、主要なものをカレンダー形式にまとめた。

サステナビリティに関する主なイベント一覧 1)

2025年

4月

◇1日

  • SSBJ確定基準の任意適用が開始(2025年3月期決算企業から順次)
  • 生物多様性増進活動促進法が施行(環境省)
  • 省エネ基準適合の全面義務化(国交省)
  • 政府「「ビジネスと人権」に関する行動計画」の最終年度(2020~25年度)

◇13日

  • 大阪・関西万博が開催(10月13日まで)

5月

◇15日

  • 3月期決算の上場企業の決算発表期限(45日ルール)

◇未定

  • 経産省と東証が第2回となるSX銘柄2025の選定企業を公表(4~5月頃)

6月

◇下旬

  • 日本企業の株主総会開催のピーク

◇月末

  • 3月期決算企業の有報提出期限、SSBJ任意適用の対象第1号に

◇未定

  • カナダで主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催

7月

◇25日

  • 欧州CSDDDの発効から1年

9月

◇18日

  • TNFD最終提言の公表から2年

11月

◇5日

  • ブラジルで国連責任投資原則(PRI)第17回年次会議が開催(7日まで)

◇10日

  • ブラジルで国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が開催(21日まで)

◇下旬

  • WICI統合報告アワードの審査結果が公表
  • スイスで第14回国連ビジネスと人権フォーラムが開催

12月

◇30日

  • 「欧州森林破壊防止規則(EUDR)」が大企業に適用開始

2026年

1月

◇1日

  • 欧州CSRDが上場中小企業等に適用拡大

2月

◇下旬

  • GPIF「優れた統合報告書」「改善度の高い統合報告書」が公表

3月

◇中旬

  • 日経統合報告書アワードが公表

1)各種公開情報をもとにインタ総研作成。毎年実施されているイベントについては、例年の時期を記載している。

2.2025年度の主なトピックス

サステナビリティの主要なテーマごとに、2025年度内に想定されるトピックスについて概説する。

(1)企業情報開示

【主なイベント】
・6 月下旬:国内上場企業の株主総会開催ピーク
・6 月末:3 月期決算企業の有報期限(サステナ記載欄の新設から3年目)

SSBJ 基準適用への準備が本格化

2023年の「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正で、有価証券報告書に「サステナビリティに関する考え方及び取組」記載欄の新設と記載義務化されてから3年目。記載の具体的内容を規定したサステナビリティ基準委員会(SSBJ)基準の確定版が今年3月に公表の見込みだ。27年3月期から、時価総額が大きい東証プライム上場企業から順に、同基準に沿った開示の義務化が始まる。

SSBJ基準への対応には、多くの企業で課題が見込まれる。例えば、同基準は、企業に非財務情報を財務情報と同じタイミングでの開示を求めている。3月期決算企業であれば6月発行の有価証券報告書での開示が必要だ。温室効果ガス(GHG)排出量も、会計年度分の集計・開示が要求される 2)。特に、「スコープ3(主にサプライチェーン)」の排出量は期間内での集計の難易度は高い。業種によっては取引先を巻き込んだタイムリーな排出量の集計方法を検討するなど、社内外を含む体制整備が必要だ。

同基準は、「サステナビリティ情報」ではなく「サステナビリティ関連財務情報」の開示を求めている。そのため、サステナビリティ推進と財務の両部門が連携した取り組みが不可欠となる・・・

2)他の法令で財務諸表の対象期間と異なる算定期間が要求されている場合は、当該の算定期間で報告することができる。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
以下のボタンをクリックしていただくとPDFにて全文をお読みいただけます(無料の会員登録が必要です)。

会員登録で レポートを全て見る