
学校現場における外部人材活用の必要性と課題【RMFOCUS 第93号】
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[このレポートを書いた専門家]

- 会社名
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 所属名
- リテールマーケット戦略部 地方創生推進チーム
2024年度自治体職員派遣研修生 - 執筆者名
- 特別推進役 飯尾 由紀恵(横浜市研修生) Yukie Iio
2025.4.2
- 日本の学校現場では、これまで各都道府県教育委員会の授与する教員免許状を持った教員がメインとなり様々な業務を担ってきたが、近年の業務量増加により、従来の体制では対応が難しくなってきている。
- 働き方改革として、部活動の地域移行など、各教育委員会においては、様々な取り組みが進められており、民間企業との官民連携の事案も増加している。
- 本稿では、部活動に関わる外部人材活用に着目し、現状と課題、そしてその解決策を考察する。
1. 学校現場における外部人材活用ニーズの高まり
(1) 教員の勤務実態
日本の教育現場における教員の過重労働は、長年にわたって深刻な問題として取り上げられてきた。社会の急激な変化が進む中で、子どもが未来社会を自立的に生き抜くための資質・能力を育成するため、学校教育の改善・充実が求められている。また、学習指導のみならず、学校が抱える課題は、より複雑化・困難化している 1)。
このような中、2016年に文部科学省が実施した教員勤務実態調査の集計において、教師の過重な勤務実態が明らかとなった 2)。その後、中央教育審議会にて議論が行われ、2019年に答申が取りまとめられた。答申の内容も踏まえ、文部科学省では学校における働き方改革を進めているが、2022年度に再度行われた同調査においても、各校種における教員の在校時間は減少しているものの、引き続き高い数値となっている 3)(図1)。
(2) 教員の業務内容
一般的な公務員の一日の労働時間は7時間45分となっているが、2016年行われた調査結果の在校時間等の内訳を見ると、教員の1日当たりの労働時間のうち、小学校では4時間強、中学校では3時間強が授業に充てられている。残りの時間で授業準備だけではなく、部活動の指導、事務作業、保護者対応、さらには学校行事の運営など多岐にわたる業務をこなさなければならない。2022年度には一部時間の減少も見られるが、それでも在校時間は10時間半に及ぶ。
特に中学校における部活動の指導は、平日の放課後や週末にも及ぶことが多く、これまで、教員の負担を大きく増大させてきた 3)(図2)。

(出典:参考文献 3))


(出典:参考文献 3))
2. 学校現場における外部人材活用ニーズ
(1) 外部人材活用ニーズの高まり
2020年度から始まった新たな学習指導要領においては、「社会に開かれた教育課程」を掲げており、教育課程の実施にあたって、「地域の人的資源等を活用し、学校教育を学校内に閉じずに社会と連携しながら実現すること」とされている。そのため、外部人材の活用は一般的な教科活動でも推進されており、2023年には、アーティスト人材や博士号取得者、IT人材等の多様な知識経験を持つ外部人材について、積極的に学校現場に参画することを促すため、文部科学省から「学校教育における外部人材活用事業の公募」が行われた 5)。外部人材の活用は、教員の働き方改革の観点だけでなく、学習指導要領への適応の観点からも、学校現場において不可欠なものとなっている。
(2) 学校現場における外部人材の種類
学校現場における外部人材は、先述の部活動指導員(外部指導者)や、事務作業のサポートスタッフ、専門的な知識を持つ講師など、多種多様である。
事務作業のサポートスタッフは、プリントのコピーや採点結果のデータ入力など、従来教員が行っていた事務作業を担い、教員の負担軽減に努める。各自治体により事務内容は異なるが、学校現場における事務作業は多岐にわたり、教員がこれらの業務をすべてこなすことは非常に負担が大きい。授業準備のための雑務をサポートスタッフに依頼することで、教員は授業内容の検討や準備に集中できるようになる。
さらに、専門的な知識を持つ講師の存在も、教育現場において重要である。例えば、国際理解教育やキャリア教育など、特定の分野において専門的な知識を持つ講師が授業を担当することで、生徒はより深い学びを得ることができる。特別非常勤講師として任用される彼らは、教員がカバーしきれない専門的な領域で質の高い教育を提供し、児童生徒の興味関心を広げることができる。
また、部活動の指導者としての外部人材には、その競技における専門的なスキルを持つ指導者が求められている。より高度な技術指導により、生徒の技術のみならずモチベーションの向上も図られる。・・・
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