レポート/資料

PLレポート 食品安全 2025年7月号

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2025.7.1

食品衛生や食品安全に関する最近の主要動向を国内トピックスとして紹介する「PLレポート(食品)」では、2025年7月号で以下のようなトピックを取り上げています。

  • 食品関連事業に係る法改正等の動向(2024年3月末~2025年6月公布・発出)
  • 解説コーナー:食品安全の視点で見る加工食品の海外輸出のリスク対策
    第1回 加工食品の海外輸出の現状とリスク対策の重要性

ここでは以上のトピックの中から、「食品関連事業に係る法改正等の動向(2024年3月末~2025年6月公布・発出)」のトピックをお伝えします。

食品関連事業に係る法改正等の動向(2024年3月末~2025年6月公布・発出)

2024年3月末から2025年6月15日にかけて公布・発出された、食品関連事業に係る主な法改正等を以下に示す。
自社の事業に関連する項目の改定がないか確認し、関連する項目がある場合は、適切に対応することが求められる。

① 機能性表示食品の届出の方法、様式等に関する告示 1)(所管:消費者庁)

紅麹関連製品に係る事案を踏まえ、機能性表示食品制度の信頼性を高める観点から、2024年8月23日に食品表示基準が改正された(届出内容の明確化、届出後の遵守事項、表示方法等の見直し)。このうち、2025年4月1日に施行された以下の事項について、2025年3月25日に、様式及び報告の方法等を定めた告示がなされた。

【主な内容】
1.以下の届出事項に係る届出の方法(別表第 26の1の項から4の項まで及び6の項)

  • 表示の内容
  • 食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報
  • 安全性及び機能性の根拠に関する情報
  • 生産・製造及び品質の管理に関する情報
  • その他の必要な事項

2.生鮮食品について遵守すべき事項その他の必要な事項(別表第27の2の項第8号)

3.「遵守の状況等の自己点検及び評価並びにその結果」に係る報告の方法(別表第27の4の項)

【補足】

  • 各様式は、「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」に記載していた様式等の一部を見直した上で規定された。
  • 「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」の記載から、様式・構成・留意点を変更し、「機能性表示食品の届出等に関する手引き」2)として整理された。当該手引きは 2025年4月1日から適用、同日付で「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」は廃止された。
  • 「機能性表示食品の届出等に関する手引き」において、「機能性表示食品に関する質疑応答集」3)で示されていた内容の一部が整理されたことから、同質疑応答集の全部改正が行われた。
  • 「遵守の状況等の自己点検及び評価並びにその結果」の報告の様式が規定された。

② 食品表示基準改正(所管:消費者庁)

2025年3月28日に食品表示基準が改正された。主な改正内容は以下のとおり。

【主な内容】
1.栄養強化目的で使用した添加物の表示義務化(第3条第1項、別表第4、別表第24)栄養強化目的で使用したレトルトパウチ食品やしょうゆ、粉末清涼飲料などの添加物は表示が免除されていたが、第3条からこの規定が削除され、他の添加物同様、表示することとされた。

※経過措置期間:2030年3月31日まで

2.栄養成分表示の見直し(別表第 9・10・12関係)
栄養成分表示に関して、下記のような改正が行われた。

  • 食物繊維における許容差の範囲に低含有量である場合の許容差を追加。0と表示することができる量の規定追加。
  • ビタミンB群における測定法の追加。
  • 日本人の食事摂取基準(2025年版)の公表を踏まえた栄養素等表示基準値の改正(たんぱく質、脂質、ナトリウム等)。
  • 栄養素等表示基準値の見直しに伴う、栄養成分の補給ができる旨の表示の基準値の改正(たんぱく質、亜鉛、カルシウム等)。

※経過措置期間:2028年3月31日まで

3.個別品目ごとの表示ルール改正・削除(別表第3・4・5・19・20・22関係)
個別品目ごとの表示ルールが課されていた以下の品目について、全体的な表示基準が整備されたことで、その役割が一部終了していることから、個別ルールの改正または削除が行われた。
個別ルールが削除されたものについては、食品表示基準第3条(横断的義務表示)が適用される。

  • 農産物缶詰及び農産物瓶詰 ・即席めん ・パン類 ・ハム類 ・ソーセージ
  • 畜産物缶詰及び畜産物瓶詰 ・ハム及び魚肉ソーセージ ・うに加工品 ・うにあえもの
  • 乾燥わかめ ・マーガリン類 ・調理冷凍食品(2026 年 4 月 1 日施行)
  • チルドハンバーグステーキ ・チルドミートボール ・チルドぎょうざ類
  • レトルトパウチ食品 ・調理食品缶詰及び調理食品瓶詰 ・炭酸飲料 ・ジャム類
  • マカロニ類 ・みそ ・塩蔵わかめ

※経過措置期間:2030年3月31日まで

【補足】

  • 2025年度も引き続き、17品目について検討予定。
  • 食品表示基準の一部改正に伴い、関連する Q&A、ガイドライン等も改定された。

◆「食品表示基準について」及び「食品表示基準 Q&A」の一部改正
◆「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」(第5版)4)公表

③ 食品期限表示の設定のためのガイドライン改正(所管:消費者庁)

2005年に厚生労働省及び農林水産省により策定された「食品期限表示の設定のためのガイドライン」について、食品ロス削減の観点から見直され、2025年3月28日に、食品表示基準Q&A に「別添 食品表示期限の設定のためのガイドライン」5)として追加された。

【主な内容】
1.消費期限または賞味期限の設定本来の用語の定義(食品表示基準第2条)に基づき、食品の特性等を考慮し、どちらかを正しく表示する。

2.食品の特性等に応じた客観的な項目(指標)及び基準の設定その食品を最も理解している事業者が、HACCP に沿った衛生管理での危害分析を踏まえ、客観的な項目(指標)を科学的・合理的に自ら決定する必要がある。

3.食品の特性等に応じた「安全係数」の設定食品の特性等に応じ、安全係数は1に近づけること、差し引く時間や日数は0に近づけることが望ましい。
微生物が増殖する可能性等の変動が大きい食品は特性に応じて安全係数を設定。加圧加熱殺菌しているレトルトパウチ食品等、変動が少なく、客観的な項目から得られた期限で安全性が十分に担保されている食品は、安全係数を考慮する必要はないと考える。

4.特性が類似している食品に関する期限の設定商品アイテムが膨大であること等を考慮すると、個々の食品で試験等を行うことは現実的ではないため、特性が類似している食品を参考にした期限の設定も可能である。

5.賞味期限を過ぎても「食べることができる期限」消費者等から求められた場合には、まだ食べることができる期限の目安について、できる範囲で情報提供に努める。

④ 「食品用器具及び容器包装のポジティブリスト制度に関する Q&A」6)策定(所管:消費者庁)

2018年6月に食品衛生法等の一部が改正され、食品用器具及び容器包装に用いる合成樹脂について、安全性を評価した物質のみを使用可能とするポジティブリスト制度が導入された。
2025年5月31日にポジティブリスト制度の経過措置が満了することから、「食品用器具及び容器包装のポジティブリスト制度に関する Q&A」が、2025年5月23日に策定された。

【主な内容】
・「2020年6月1日前に販売等されていた器具又は容器包装と同様のもの」について、2025年6月1日までに確認が間に合わない場合の具体的な対応方法が示された。

1)食品表示基準第2条第1項第10号イの別表第26の1の項から6の項までの規定に基づき内閣総理大臣が告示で定める届出の方法並びに同号ロの別表第27の2の項第8号の規定及び4の項の規定に基づき内閣総理大臣が告示で定める遵守すべき事項その他の必要な事項及び報告の方法を定める告示
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms205_250325_01.pdf
2)機能性表示食品の届出等に関する手引き
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/assets/food_labeling_cms205_250415_02.pdf
3)機能性表示食品に関する質疑応答集
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/assets/food_labeling_cms205_250325_27.pdf
4)「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」掲載ページ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/business#02
5)食品表示基準 Q&A「別添 食品表示期限の設定のためのガイドライン」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_250328_1029.pdf
6)品用器具及び容器包装のポジティブリスト制度に関する Q&A
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new/assets/standards_cms101_250526_001.pdf

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