
PLレポート「製品安全(2025年9月号)」
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2025.9.1
国内外の製品安全、PLリスクに関連するニュースを紹介するととに、昨今の技術革新や市場の変化などを踏まえた製品安全に関わる旬のトピックスを連載する「PLレポート(製品安全)」。2025年9月号で以下のトピックを取り上げています。
- ルームエアコンの相談件数が増加傾向
- 取扱説明書や各種マニュアルを電子化する場合の留意点
- モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池搭載製品の規制等に関する最新動向
ここでは以上のトピックの中から、「ルームエアコンの相談件数が増加傾向」についてお伝えします。
ルームエアコンの相談件数が増加傾向
一般財団法人家電製品協会家電製品PLセンターは、2025年7月2日に「2024年度家電製品PLセンター年次報告書」※1を公表しました。本報告書によると、製品別の相談受付件数はルームエアコンが370件と最も多く、前年比で110%の増加となっています。2021年度までの同製品の相談件数は200件台でしたが、2022年度以降は300件を超える件数で推移しています。また、同製品の2024年度の相談のうち、損害事故(製品が原因と思われる損害事故)件数については、洗濯機の35件に次いで25件で、このうち拡大損害事故(製品が原因と思われ、生命や身体、財産等への被害が生じた事故)では、21件でした。
図1:ルームエアコンの相談件数(件)

出典:一般財団法人家電製品協会家電製品PLセンター「2024年度家電製品PLセンター年次報告書」をもとに弊社にて作成
同製品の相談件数の増加の背景には、次のような近年の使用実態から故障リスクが高まっていることが考えられます。
- ルームエアコンは高価な製品であることから、長期にわたり使用されることが一般的であり、昨今の物価高により、買替サイクルが長くなっていること
- 温暖化の影響により、猛暑日を記録する期間が長くなっており、夜間においても気温が下がらない日が多くなっていることから、ルームエアコン自体の稼働時間も大幅に増えていること
このような環境下においては、製造事業者や販売事業者は、下表に整理した同製品による事故の主な原因を参考に、ルームエアコン本体や室外機を正しく設置し、使用することや、適切なメンテナンスを行う必要があることを消費者に正しく伝え、異常の兆候がある場合は買替を促すなどの情報発信が必要となります。
経年劣化 | 内部部品の劣化による発熱や発火のリスクが挙げられます。 特に、10年以上使用しているルームエアコンは注意が必要となります。 |
誤った使い方 | 電源の配線に延長コードを用いた場合、消費電力が大きいため コードが過熱して発火するリスクが挙げられます。 また、コンセントのプラグに埃が溜まった状態で使用すると、 トラッキング現象によりショートして発火する可能性があります。 |
設置状況の問題 | エアコンの設置が不適切な場合、落下や冷媒漏れなどが発生する可能性があります。 エアコンは高価な製品であることから、引っ越しなどの際に移設する場合もありますが、 正しい設置を行わないと事故につながる可能性があります。 特に室外機では、周辺に可燃物を置くことで、火災の原因になることがあります。 室外機は熱交換された熱い空気を室外に排出する必要があります。 直射日光などで室外機が高温になる環境での設置や、直射日光を避ける目的で室外機を覆い、 空気の流れを遮断してしまうと事故や故障の原因となります。 |
メンテナンス不足 | エアコンは定期的なメンテナンスが必要な製品です。 フィルターが目詰まりすると、エアコンに過度な負荷がかかり、故障や火災の原因になる場合があります。 また、エアコン内部を洗浄する際、洗浄液が電気部品にかかると、 ショートして発火する可能性があります。 |
【参考情報】
1)一般財団法人家電製品協会家電製品PLセンター「2024年度家電製品PLセンター年次報告書」:
https://www.aeha.or.jp/plc/houkoku/pdf/nenji_2024.pdf
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