コラム/トピックス

取扱説明書や各種マニュアルを電子化する場合の留意点

2025.9.24

近年、電気製品をはじめ、多くの製品において取扱説明書や設定マニュアルなどを自社のホームページ上で電子データとして掲載する事例が増えています。

取扱説明書を電子データ化するメリットとして、製造事業者においては、ペーパーレス化による紙使用量の削減や製品重量の低減による輸送コストの低減、また記載内容に変更が生じた場合の消費者への周知の容易さ、動画を用いた取扱説明の実現などがあります。また、消費者においても、取扱説明書の保管の手間がなくなる、必要項目の検索が容易にできるなどのメリットがあります。

「安全上の注意事項」などは、製品の開梱や設置の際に、消費者が使用する前に必ず読んでおくべき事項です。しかし、電子化されることで、端末を用いて確認しなければ、消費者の目に留まらない、電子データを確認できる端末が手元にない場合には、そもそも当該情報にアプローチできないといった問題があります。

このようなことから、製造事業者において、取扱説明書等の電子データをホームページ上に掲載することに、お悩みの事業者も少なくありません。

この問題の解決の方向性の一つとして、一般財団法人製品安全協会では、取扱説明書を電子データ化し、QR コードにより検索、閲覧できる提供方法に関し、求められる条件を次のとおり公開しています※1

  1. SG 基準が指定する注意事項は、基準に従い、本体、梱包などの見やすいところ、或いは別紙、或いはその両方でわかりやすく表記されていること。
  2. 使用方法などは、QR コードを読み取って得られる情報の方が紙媒体での説明よりもわかりやすいものであること(わかりやすいイラスト、動画等に容易にアクセスでき、取扱説明書はタグ機能で読みたいところがすぐに見つかるなど)。
  3. 情報内容や情報の保存場所の変更が行われた場合でも、製品購入時の QR コードからアクセスが可能であること。
  4. 製品購入時に提供した情報が保存されていること。
  5. 情報のアップデートは SG 基準に適合させること。大きな修正は、試験を行なった検査機関の確認をとること。
  6. 紙媒体での取扱説明書を求められた場合は提供できること。

取扱説明書等を電子データ化する際には、これらの求められる条件を参照し、対象製品の製品安全上のリスクについて改めて検証し、必要な対応を取ることが求められます。

1)一般財団法人製品安全協会
「第175 号 取扱説明書などの QR コード利用への取り組み~消費者にとってより便利な製品情報の提供を目指して~」
https://www.sg-mark.org/mailmagazine/175/

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