脱炭素を自分事として体験できるビジネスカードゲーム研修とは?1人の行動がみんなの未来を変える
2026.3.12
気候変動リスクへの対応、取引先からの排出量削減の要請、企業価値の向上といった流れを受けて、企業の脱炭素の取組はいまや待ったなしです。
ただ、脱炭素を組織内の一人ひとりが自分事として実行するのが難しいのも事実です。こうした現状を踏まえ、MS&ADインターリスク総研では、カードゲームを使って、脱炭素社会の実現に向けて組織としてどのように意思決定したり、ほかのプレーヤーと協働したりしていくかを体験できる研修を実施しています。
このカードゲームを使った研修とはどのようなものなのか?2026年1月に静岡県の浜松いわた信用金庫さまで実施した研修の内容をご紹介します。
流れ
- カードゲーム「2050カーボンニュートラル」とは?
- 浜松いわた信用金庫さまで脱炭素カードゲームを実施!
- 経済価値の実現を目指しつつ、脱炭素を目指すためには…
- ゲームを終えた浜松いわた信用金庫さま「自ら考えて取り組めた」
- カードゲーム研修で次の一歩を踏み出そう!
カードゲーム「2050カーボンニュートラル」とは?
MS&ADインターリスク総研(以下、当社)が研修で使っているカードは、株式会社プロジェクトデザインがビジネスゲーム用に開発したものです。当社は公認ファシリテーターとして、脱炭素を推進しようと取り組んでいるお客さま向けに、研修メニューのひとつとして提供しています。


出典:株式会社プロジェクトデザイン
このカードゲームの特長は、複数のチームが“1つの社会”を動かすシミュレーションゲームだという点です。
各チームには、住宅メーカー、電力会社、自動車メーカー、金融機関、政府、環境NPOといった異なる目的や資源を持つ役割が割り当てられ、チームが経済活動をすると温室効果ガス(以下、GHG)が排出されて、社会全体に影響する仕組みになっています。
ゲームでチームに割り当てられる役割


出典:株式会社プロジェクトデザイン
また、それぞれのチームは割り当てられた企業や団体としての役割を担うとともに、同時にその社会で暮らす市民の立場としてもアクションを行える仕様になっています。
例えば、あるチームが経済価値だけを優先して環境を置き去りにすると、社会全体の環境が悪化してしまうので、市民として省エネに取り組むことで、排出されるGHGの抑制につなげることができます。
こうしたゲームの世界観は、「カーボンマップ」というボードを使って排出されたGHGが赤や黄色のマグネットの数で“見える化”されて、視覚的に理解できるように工夫されています。
カーボンマップのイメージ


その上で、再エネ投資、省エネ施策、新技術導入、市民啓発、インフラ整備、規制・補助金などの「アクションカード」を使って、経済価値(チームの役割目標)の実現と社会全体で排出されるGHGの抑制の両立を目指します。
浜松いわた信用金庫さまで脱炭素カードゲームを実施!
このカードゲームを使った研修を実施したのは、静岡県の浜松いわた信用金庫さまです。
同金庫さまでは、気候変動対策などの社会課題の解決と、お客さまの脱炭素経営をサポートし、企業価値向上と持続可能な社会の実現を目指す企業活動に融資をする『サステナブルファイナンス』を提供しています。
こうしたことを踏まえて、同金庫さまでは、営業担当の職員の脱炭素に関する知識と理解を高めることを目指し、2025年12月から翌年3月までに3回にわたって、脱炭素の基礎知識から脱炭素経営の実践までを学べる研修を実施しました。
カードゲームは、1月26日に開催した2回目の研修で用いられ、営業担当の職員54名が浜松市にある本店に集まり、12チームに分かれてゲームをスタートしました。
研修当日の様子


ゲームでは、はじめに当社のファシリテーターが「わたしたちの世界で起こっていること」と題して、排出されるGHGの増加によって、風水害や森林火災などが増加していることや、農作物や海産物の生育地に変化が出ていることなどを説明しました。
その上で、各チームに配布された「ゴールカード」に書かれた目標を実現するために、資金を使ってアクションすることで(アクションカードをファシリテーターに提出することで)、目標達成を目指すというルールを説明しました。
ゴールカードの例


初期資金4,000Mを15,000M以上にすることがこのカードを持っているチームの目標となる
経済価値の実現を目指しつつ、脱炭素を目指すためには…
各チームには、「組織のアクションカード」と「市民のアクションカード」が8枚ずつ配られ、5年間を1つのターン(行動単位)としてあわせて4ターンを実施して、20年後の未来をシミュレーションすることを目指してスタート。


全チーム合わせて60,000Mという資金を持ってゲームをスタート(「M」はゲーム上の資金単位)。各チームは、1ターンごとに組織や市民のアクションカードをファシリテーターに渡してリザルトカードを受け取ることで、所持資金は下の画像のように変動していきました。


所持資金が増えたチームもあれば、減るチームもある
この日のゲームでは、当初60,000Mだったチーム全体の資金は、96,500Mに増加しました。
一方で、大気中のGHGは初期値の82からゲーム終了時には101へと増加したものの、3ターン目以降、各チームが積極的に「政府による炭素税導入」や「市民によるEV購入」などの行動を取ることで、4ターン目には前のターンより2%近く大気中のGHGを削減することができました。
各ターンの社会全体のGHG推移と前ターンからの増減率


チームの多くは当初、それぞれのチームの中だけで議論をしてプレーしていましたが、ゲームが進むにつれて、所属チームは違っても市民として共通の目標に向けて連携すると、排出されるGHGを効果的に抑制できることなどを理解できるようになり、積極的にほかのチームとコミュニケーションを取るようになっていきました。
ゲーム終了時のカーボンマップ


ゲームを終えた浜松いわた信用金庫さま「自ら考えて取り組めた」
今回の研修を企画した浜松いわた信用金庫さまのソリューション支援部地域活性課で次長を務める乗松健悟さんは、カードゲームを使った研修に取り組んでみた感想について、次のように話していました。
「『サステナブルファイナンス』を提案するにあたっては、まずは当金庫の職員自身が脱炭素に関して十分に理解を深めておく必要があり、その上で、お客さまの課題を自分事として捉えてほしいという課題を持っていた中で、今回、主体的に取り組むことができるカードゲームを使った研修を実施しました。
参加者の様子からは、経済的な利益の追求と排出されるGHGの抑制のバランスを自ら考えて意思決定しようと取り組んでいることが感じられました。まずは、こうしたゲームを通じて脱炭素を身近に感じてもらい、ゆくゆくはお客さまに説得力を持って融資商品を提案できるようにしていきたいと考えています」
カードゲームを使った研修終盤の様子


カードゲーム研修で次の一歩を踏み出そう!
カードゲームを使った脱炭素研修は、座学による説明だけでは得られない「意思決定」と「協働」の重要性を、参加者自身が体験して理解できる内容となっていて、次のような効果が期待できます。
- 組織内での認識のギャップを“見える化”して、議論のきっかけを作る
- サプライチェーンや地域金融の脱炭素戦略の必要性に気付きを与える
- 研修後の行動につながる気付きを生み、具体的な次の一歩を踏み出せるようになる
MS&ADインターリスク総研では、今回ご紹介したカードゲームも含めて様々な研修メニューをご用意しており、脱炭素の取組を推進したいと考えている皆さまの状況に合わせ、カスタマイズした研修をご提供します。
実施規模や目的に合わせたプランをご提案しますので、詳細やお見積りのご希望は以下のフォームからご連絡ください。