コラム/トピックス

SoN(自然の状態)指標の最終案 TNFD、GRI、SBTNでは具体的な活用方法の検討進む

[このコラムを書いたコンサルタント]

専門領域
サステナビリティ
役職名
リスクマネジメント第五部 サステナビリティ第一グループ 
主任コンサルタント
執筆者名
津田 ミリアム Miriam Tsuda

2026.4.28

Nature Positive Initiative(NPI)が策定を進めるState of Nature(SoN:自然の状態)指標の最終化と各種フレームワークなどへの組み込みに向けた議論が進んでいる。

最終案のSoN指標は、2つのスコープ(サイト、ランドスケープ/シースケープ)について、4つの指標(生態系の範囲、生態系の状態、種の絶滅リスク、種の個体数)で構成される。さらに各指標には、それぞれデータの可用性や利用目的に応じた3段階のデータ精度が設定されている(図1)。ドラフトでは、2つの区分(ユニバーサル指標、ケース固有指標)と3つの指標(生態系の範囲、生態系の状態、種)で構成される7つの指標で設計されていた。サイトスケールの指標とランドスケープスケールの指標が混在する設計であったため、パイロットテストを受け、スケールごとに指標を区分する構成に更新された。

図1:SoN指標最終案の概要
図1:SoN指標最終案の概要
(出典:NPI (2026) Supporting informationを基にインターリスク総研が作成)

これまで自然の状態に関する評価指標は多様で、比較や統合が難しいという課題があった。SoN指標はこうした状況に対して共通の最小セットを提示するものであり、SoN指標の活用方法についても具体的な検討が進められている。

4月9日には、TNFD、GRI、SBTNはSoN指標の活用方法について共同ディスカッションペーパーを公表し、6月4日までのパブリックコンサルテーションを開始した。ディスカッションペーパーでは主なユースケースとして以下の4つが示されており、各フレームワークにおける具体的な活用方法についても検討が進められている(表1)。

表1:SoN指標の4つのユースケース
1 評価(Assessment) 自社およびバリューチェーンにおける優先地域の特定、自然への依存・インパクトおよびリスク・機会の把握
【活用例】
  • SoN指標を用いた重要地域の特定・優先地域のスクリーニング
  • 生態系の状態や絶滅リスクなどの変化を把握
2 開示(Disclosure) 自然関連指標の標準化
【活用例】
  • TNFDのグローバル中核開示指標、GRI、ESRS E4においてSoN指標を開示
3 移行計画(Transition Planning) ネイチャーポジティブに向けた戦略・優先領域の特定
【活用例】
  • SoN指標の変化を踏まえた自然損失の抑制・回復に向けた戦略の設計
4 目標設定(Target Setting) 科学的根拠に基づく目標設定および進捗管理
【活用例】
  • SoN指標を用いた状態ベース目標:ノーネットロス、ネットゲイン、回復面積、種の保護、絶滅リスク低減、生態系サービス改善

このようにSoN指標の活用が各フレームワークで検討される中、今後は自然の状態をどのように測定し、開示指標として位置付けていくかが重要な論点となる。SoN指標の最終版と各フレームワークへの組み込みが進めば、自然関連開示はより構造的に整理されていくと考えられる。

*Nature Positive Initiative:自然保護団体、研究機関、企業、金融連合など27団体が参画しており、「ネイチャー・ポジティブ」の定義を含め、ネイチャー・ポジティブの実現に向けて必要なツールとガイダンスを提供することを目的とした団体。

参考情報:NPI (2026). Draft Measurement Guidance Executive Summary: State of Nature Metrics – February 2026
TNFD, GRI, SBTN (2026). Discussion paper on state of nature measurement

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