PLレポート 製品安全(2011年11月)
2011.11.1
国内のPL関連情報
■集団的消費者被害救済制度の創設~消費者被害の一括救済へ内閣府が素案~
(2011年8月4日 朝日新聞)
不当条項や誇大広告など、被害額は少ないが多数の消費者が損失を被り、訴訟費用や手間を考えて泣き寝入りしてしまうような案件を一括して救済する「集団的消費者被害救済制度」が新設される。内閣府消費者委員会の専門調査会が4日、素案をまとめた。
国が認定した団体(適格消費者団体)が、まず事業者に対する契約無効や違法行為の確認訴訟を裁判所に提起し、勝訴したら該当する消費者に訴訟の参加をインターネット等で呼びかけ、損害賠償額などを決める。被害者は裁判所に支払う手数料や適格消費者団体への報酬・費用がかかるが、裁判所に行く手間もなく、個別に訴訟を提起するより安く済むため、幅広い被害救済につながると期待される。
「集団的消費者被害救済制度」の対象となるのは、虚偽又は誇大広告による販売、不当勧誘や契約解消のトラブルによる被害などである。
■子供用金属性アクセサリーの誤飲事故防止
(2011年8月10日 消費者庁)
消費者庁は8月10日付のニュースリリース「子どもの誤飲事故防止に関する対応」により、乳幼児が飲み込む恐れのある大きさで子どもが身につける可能性のある金属アクセサリー(以下「子ども用金属製アクセサリー」)について、再度、消費者への注意喚起と事業者団体への要請を行った。
同庁は既に昨年、(独)国民生活センターに依頼して行った「子ども用金属製アクセサリーにおけるカドミウムと鉛の溶出量に関する調査」の結果(一部製品から一定量の鉛の溶出が認められた)に基づき、消費者に対して該当製品の取り扱いや管理についての注意喚起を行うと共に、製造・販売事業者に対し鉛の低減と誤飲防止の注意表示の適正化を要請している(2010年3月25日付同庁リリース)。しかし、事業者のその後の取り組みをフォローアップする目的で今年度に改めて調査を行った結果、前回と同様に一定量の鉛の溶出が認められる製品があったため、注意喚起・要請を再度行うことになったものである。
■小麦由来成分配合石鹸によるアレルギー被害
(2011年8月14日 産経新聞 他)
2005年から2010年12月までに「美肌効果がある」として、通信販売で約4650万個と爆発的な販売を記録した小麦由来成分配合石鹸の使用者から、小麦由来成分によるアレルギー症状を発症する被害が相次いでいる。国民生活センターに寄せられた当該石鹸に関する相談は9月1日現在で1309件寄せられており、うち危害に関する相談は614件に上っている。
厚労省は2010年10月時点で事態を重視し、当該事業者に対し注意喚起や副作用の報告を徹底するよう通知した。これを受け製造販売会社は2010年12月7日に販売停止、更に厚生労働省と製造販売会社は2011年5月20日には自主回収を発表した。しかし、8月末現在回収できたのは約90万個にとどまっている。
いったん小麦アレルギーになると、当該石鹸の使用をやめても、パンやうどんなどの小麦製品による発症が続くことも考えられ、相談件数も多いことから、大阪、東京、名古屋などではすでに被害対策弁護団が発足している。
海外のPL関連情報
■メキシコにおけるクラスアクション法の制定
2011年4月、メキシコ初のクラスアクション法が議会を通過し、大統領署名後8月30日に公表された。新法は2012年3月1日より施行される。メキシコでは、2010年4月に議会において憲法の修正を行い、1年以内にクラスアクション法を制定するよう求めていた。学識経験者、実務家、消費者保護団体、NGO、経済界等異なるセクターにおいて様々な利害に基づくクラスアクション法のモデルの論議を経て、今回、新法としてとりまとめられた。
ここがポイント
クラスアクションは、多数の人に同様の被害が発生した場合に、その被害を共有する集団(クラス)を代表すると主張する者が、個々の被害者からの授権を必要とせずに、被害者集団のために事業者に対して損害賠償請求訴訟を提起できる制度です。メキシコにおいては、1994 年消費者保護法により、消費者問題について限定的にクラスアクションを認めていましたが、提訴権を連邦消費者保護機関(the Federal Consumer Protection Agency)のみに与えていたことから、実際には 20 年余で数件の提訴実績しかなく、長年にわたり、実務家、消費者団体、学者、立法者がクラスアクション法の制定を主張してきました。
■カリフォルニア州最高裁判所判決:COLLATERAL SOURCE RULEの証拠適用方法を修正
本年8月、カリフォルニア州最高裁判所はHowell v. Hamilton Meats事件において、従来の「COLLATERAL SOURCE RULE」(副次的給付非控除ルール)にかかわる証拠採用方法を改め、従来の「医療機関からの請求金額」ではなく、「医療機関の受領金額」を基に陪審に損害認定を指示すべきと判示した。
本件における原告の治療費は、医療機関からの請求額を原告の健康保険会社が交渉の上3分の1に減額していた。下級審段階の損害認定では、「COLLATERAL SOURCE RULE」に基づく従来の(減額前の)「医療機関からの請求金額」を証拠採用していたが、最高裁はこれを覆し、保険会社による実際の支払額すなわち「医療機関の受領金額」を証拠採用すべきとした。
ここがポイント
米国の損害賠償請求訴訟においては、損害額が被害者自ら手配した保険や補償等により補填された場合でも、損害賠償以外の源泉による補償は考慮せずに損害認定するという原則があります。
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