コラム/トピックス

欧州委員会、Safety Gateの2025年報告書を公表

2026.7.14

欧州委員会(European Commission)は3月5日、Safety Gate(EUにおける食品を除く危険な製品の緊急警告システム)に関する2025年の年次報告書を公表した。

本報告書から、Safety Gateを通じた警告通知の分析や、関連する活動について抜粋する。

1.警告通知に関する分析

(1)通知件数

2025年にSafety Gateに通知された件数は4,671件であり、過去最高となった(図1、以降の図は本報告書に基づき当社で作成)。これは、Safety Gateに参画するすべての国の市場監視当局による強力な執行努力によるものであり、また、発見された危険な製品に関する情報交換がより活発になっていることを意味する。

図1.通知件数の推移

通知件数の推移
通知件数の推移

(2)通知件数の多い製品群と危害の種類

通知された件数を製品種別に見ると、最も多かったのは化粧品(全体の36%)であった。続いて玩具(同16%)、家電製品(同11%)となっている(図2)。

図2.通知件数の多い製品群(上位3製品)

通知件数の多い製品群(上位3製品)
通知件数の多い製品群(上位3製品)

リスクの種類については、化学物質に関係するものが最も多く(53%)なっており、それに続いて怪我(14%)、窒息(9%)となっている(図3)。化学物質リスクは、化粧品に関する警告の割合が高いことも反映しているが、このうち大部分(77%)は、2-(4-tert-ブチルベンジル)プロピオンアルデヒド(BMHCA、別名「Lilial」)※1によって引き起こされている。

また、各国当局は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)※2を含むマニキュア液についても、2025年9月に化粧品への使用が禁止された直後に通知を開始しており、各国当局は化学物質に対する新しい規制に注意を払い、迅速に行動している。

フタル酸エステル類は、プラスチック製の玩具や子ども向け製品から、現在でも頻繁に検出されており、鉛は、ケーブルのはんだ等から頻繁に検出される。

怪我については、自動車に関連する事故から、子どもを転倒や怪我から適切に保護していない育児用品や玩具に及んでいる。

窒息については、主として小部品によるものである。

図3.通知件数のリスク種別割合(上位3種別)

通知件数のリスク種別割合(上位3種別)
通知件数のリスク種別割合(上位3種別)

※1)BMHCAは、さまざまなタイプの化粧品に広く使用されている合成香料成分であり、生殖系に有害であり、皮膚感作を引き起こす可能性があるとされるため、2022年3月以降禁止されている。
※2)TPOは、生殖系や胎児の健康に害を与え、アレルギー皮膚反応を引き起こす可能性があるとされる。

2.2025年の主な活動

(1)国際協力

OECDの消費者製品安全に関する作業部会に参加するとともに、2025年12月に国連総会において、国連消費者製品安全原則※3の採択を支援した。また、UNCTAD(国際連合貿易開発会議)に資金援助を行い、開発途上国の政策立案者や規制当局に実際的な指針を提供するための消費者製品安全ハンドブックを作成している。

(2)ネット上の危険な製品の追跡

電子商取引における様々な課題への対処の一環として、初めての製品安全調査(Product safety sweep)※4を実施した。これは、EUおよび第三国のネット市場プラットフォームに掲載されている育児用品が、欧州GPSR(General Product Safety Regulation、製品安全規則)に基づく義務を遵守しているかどうかに焦点をあてたものである。

また、当局の市場監視能力を強化するために、以下二つのウェブクローラーを提供した。eSurveillanceウェブクローラーは、Safety Gateに既にリストアップされている危険な製品がネット上で掲載・販売されていた場合に、それを検出しフラグを立てるものである。Proactiveウェブクローラーは、ネット市場を自動検索し、潜在的に安全でない製品または規制に準拠していない製品を特定するためのものである。

さらに、EUで活動している1,200を超えるネット市場運営事業者について、登録ツールを用いてSafety Gateポータルに登録を行わせている。

(3)製品安全表彰※5

EU製品安全表彰は2019年に創設され、2年ごとに開催されている。2025年は製品安全について革新的な取組を行っている企業、消費者製品の安全性向上に大きく貢献する研究を行っている研究者、のカテゴリーで募集が行われた。計33件の応募があり、4つの企業、1つの研究者が表彰されている。

(報告書の抜粋終わり)

Safety Gateの報告書は毎年この時期に公表されている。本報告書は、製品安全に係る欧州の活動や欧州各国政府の当局が注視している事項などが整理されているので、自社の体制や取組の見直しに向け、参考になるものといえる。

出所:欧州委員会(EC)の発表 https://op.europa.eu/webpub/just/safety-gate-2025-report/en/

※3)https://unctad.org/system/files/official-document/a_res_80_119_consumer_product_safety_en.pdf
※4)https://api.tech.ec.europa.eu/justools-content/buckets/saga/folder/safetyProductsOnline/filename/sweep_summary_report.pdf
※5)https://api.tech.ec.europa.eu/justools-content/buckets/saga/folder/safetyAward/filename/PSA_Winner_Brochure_Digital.pdf

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