職場における熱中症を防ごう【労災リスク・インフォメーション 創刊号】
2011.7.1
1. はじめに
厚生労働省が発表した「職場における熱中症による死亡災害発生状況」によると、記録的な猛暑などの影響もあり、平成22年の職場での熱中症による死亡者は47人と、前年の8人から大幅に増加し、熱中症として統計を取り始めた平成9年以降、最も多い人数となりました。
平成22年において死亡者数が増加したこと、今年度は東日本大震災による夏期電力需給対策に基づき職場での節電が求められていることから、厚生労働省は、熱中症が多発している建設業および製造業において、熱中症予防対策の重点事項を示したところです。また、総務省消防庁の発表によると、平成23年6月20~26日の1週間において、熱中症とみられる症状で救急搬送された人は、昨年6月の2,276人を上回る2,996人となっており、急激に気温が上昇したことが背景にあるとみて、注意を呼びかけています。
本稿では、熱中症の概要、発生状況および予防対策などを示すとともに、熱中症に関する情報をご紹介します。
2. 熱中症の概要
2. 1 熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりするなどに伴い発症する障害の総称であり、めまい、失神、筋肉痛、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、痙攣、手足の運動障害、高体温などの症状が現れます。熱中症が発生した際の重症度に従って、図表1のように「I度」「II度」「III度」に分類することができます。
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