原材料調達における生物多様性への影響と事業リスク【新エターナル(2014年11月)】
2014.11.1
1. はじめに
過去20年ほどの間に、企業は自社の内部だけでなく、バリューチェーンの環境・社会的影響にまで社会的責任を問われるようになり、その潮流は一層強くなってきています。企業の好取り組み事例も多く見られるようになりましたが、その一方で資源開発企業はもとより、メーカー、小売業などの資源利用側の企業(以下、ユーザー企業)がNGOなどから責任を追及・糾弾される事例も後を絶ちません。
本稿ではバリューチェーン管理のうち、特に原材料調達と生物多様性に焦点を当てて、最近の動向を解説します。
2. 拡大する企業の社会的責任の範囲
(1) バリューチェーンと企業の社会的責任
1990年代に、主に発展途上国における企業の様々な環境、人権問題が明るみになり、またそのような企業から原材料を調達している先進国のグローバル企業も、国際社会からその社会的責任が問われるようになりました。
最も有名な例として、1990年代初頭のナイキの問題が挙げられます。同社の海外委託工場では、児童労働、低賃金、劣悪な労働条件、基準値を上回る量の呼吸障害の原因となる化学物質を使用していたことなどが判明し、全米で批判キャンペーンが展開され、メディアでも多く取り上げられました。
批判が起き始めた当初、同社は、自社または自社と資本関係のある工場で起きている問題ではなく、その製品を購入しているだけであると主張していました。
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