企業立地や原材料調達先の選定における生物多様性リスク評価【新エターナル(2012年2月)】
2012.2.1
1. はじめに
生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10)を契機として、国内においても事業活動と生物多様性の関係を把握し、関連する企業リスク1を整理・分析する企業が多く見られるようになりました。さらに多くの業種において、土地利用や特定の原材料調達などに踏み込んで、より具体的な生物多様性配慮の社内基準または業界基準、認証制度を策定する動きも活発化しています。
この流れを受けて、企業は全社的な生物多様性方針やガイドライン策定の段階に留まらず、工場立地、原材料調達、製品・サービスの設計、投融資などの具体的な業務プロセスに生物多様性の視点を組み込む段階へとステップアップすることが求められています。
その手始めとして、本稿ではプロジェクトの最も初期段階にあたる、工場立地や原材料調達先などのサイト選定時の生物多様性リスク評価について取り上げます。
2. 生物多様性の初期リスク評価
(1) 初期リスク評価の必要性
一般的に工場立地や原材料調達先などの選定段階でリスク評価を行い、高い保護価値を有するサイトを回避することが、最も基本的なリスク低減策と言えます。また早期にリスクを把握することは、適切な対策手法の選択肢を広げることにつながり、プロジェクトコストの削減になります。
COP10に合わせて公表された「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」2は、初期リスク評価の有効性に言及するとともに、企業が生物多様性高リスク地域を特定している事例をベストプラクティスとして紹介しています。
(2) リスク評価基準の策定
リスク評価の視点として、代表的なものに「高保護価値(HighConservationValue:HCV)」の枠組みが挙げられます。HCVはサイトスケールで生物多様性の観点から高い価値を有する地域を特定する手法です。当初は森林管理協議会(FSC)認証のために開発されましたが、現在では土地利用計画、政府、NGOなどに広く用いられているほか、TEEBや「国際金融公社パフォーマンス改訂基準(IFC-PS)」3でも紹介されています。
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