レポート/資料

地方自治体による南海トラフ巨大震の被害想定と企業における地震・津波対策について【BCMニュース 2013年 第6号】

2014.3.1

1. はじめに

平成24年8月に、内閣府に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」より「南海トラフの巨大地震の被害想定について(第一次報告)」が公表された。この報告では、「南海トラフの巨大地震モデル検討会」で検討された震度分布・津波断層モデルなどの前提条件に基づき、人的被害・建物被害を推計している。この結果は国の広域的な防災対策の立案などを検討するための基礎資料とすることが目的であり、マクロ的な推計として位置づけられている。このため、この報告以降、各地方自治体においては、より地域の実情をふまえた津波高・浸水域の推計および被害の推計に着手、被害想定結果が順次公表されてきている。本稿では、地方自治体(都府県)が検討、公表した被害想定(平成25年1月から平成25年12月までを対象)において、人的被害総数に着目して国との差異を示し、その差異が発生する原因を考察する。また、地方自治体の被害想定を受けて、企業における地震・津波対策について考察する。

2. 地方自治体想定と内閣府想定との比較

2.1. 人的被害総数による比較

本稿では、地方自治体と国との被害想定の差異を把握するにあたり、人的被害に注目してみた。表1に、南海トラフ巨大地震を対象とし、13都府県で想定された人的被害総数および、国が想定した人的被害総数との差を示す。3県(静岡県、高知県および宮崎県)を除き、10都府県の人的被害総数は、国よりも大きな値となっており、地方自治体の人的被害総数は国よりも大きい傾向がみられる。

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