企業におけるBCP訓練のトレンド【BCMニュース 2013年 第1号】
2013.4.1
はじめに
未曾有の被害をもたらした東日本大震災から2年が経過した。この震災をきっかけに、企業の間でも事業継続計画(BCP)の必要性がより広く認識されるようになり、震災後にBCPの策定に着手した企業、もしくはBCP取組みを本格化させた企業も数多い。震災から2年を経た現在、BCP策定の取組みが一段落した企業を中心に、「今後どのようにBCPに取り組んでいけばよいか。他の企業はどのような取組みを行っているのか。」といった質問が寄せられるケースが格段に増加した。
本稿では、企業におけるBCP取組みの最近のトレンドとなっているBCP訓練に焦点を当てて紹介する。
1. 企業が関心を持つテーマの推移
図1は、企業や団体から当社に寄せられたBCP関連の依頼の内訳の年度別推移である。
2011年度はBCPセミナーなど「情報の提供」のニーズが高く、全体のほぼ50%を占めた。未曾有の災害を目の当たりにしてBCPの必要性を痛感した企業の多くが、まずは知識の習得や情報の収集に動いたことがわかる。
2012年度になると、BCP策定・見直し支援のニーズが高まり、依頼件数の過半数を占めるようになる。これは、多数の企業においてBCPの取組みが、その方向性を検討する時期から、取組みに必要な予算や組織・要員の確保の段階を経て、本格的な取組みに着手する段階に移ったことを示している。
もうひとつ、2012年度の特徴として、BCP訓練の占める割合が大きく高まっていることがあげられる。ひと通りBCPの策定を終えた企業が、BCPの内容を従業員に周知徹底する、あるいはBCP自体のブラッシュアップを目的として、積極的にBCP訓練を行うようになってきているのである。現況下の企業のBCP取組みのトレンドは「BCPを策定する」段階から、BCP訓練などを通じて「策定したBCPの実効性を高める」段階へシフトしつつあるといえる。そして今後もこの傾向はますます顕著になっていくであろう。
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