スマートフォンのセキュリティ【情報セキュリティニュース 2011年 第2号】
2011.8.1
2011年のスマートフォンの世界出荷数は4億2,000万台でパソコンを超える見通しとなっている。また、日本においても、2015年にはスマートフォンの契約台数がフィーチャーフォン(注1)を逆転し、6,000万人を越える日本人がスマートフォンを所持すると言われている。一方、その最中で、スマートフォンを狙うコンピューターウイルス(悪質なプログラム)も次々と出現している。ウイルスの主な標的となっているのは、グーグルのOS「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォンである。ウイルスが埋め込まれたアプリケーションを実行すると、個人情報を盗まれたり、スマートフォンを遠隔から勝手に操作されたりするウイルス感染の報告が2010年8月以降から徐々に増え始めた。このようなスマートフォンにおけるウイルスは、パソコン向けウイルスと比べると現時点での確認例は少ないが、今後増えていく可能性は高い。本稿ではその危険性を認識するために、スマートフォンとそのセキュリティについて詳述する。
注1:通話とショートメッセージサービスなど限定された機能を持つベーシック・フォンやシンプルフォンから進化し、インターネットに接続でき、アプリケーションが動作するほか、GPS、ワンセグ、デジタル・カメラでの静止画・動画の撮影、音楽再生機能などが追加された端末のこと。
1. スマートフォン市場規模の拡大
2011年3月末の日本におけるスマートフォン契約数は955万件で、端末総契約数1億912万件に対するスマートフォン契約比率は8.8%となった。さらに、2012年3月末には2,598万件(23.1%)となり、その後1年ごとに平均10%程度の成長率を見せ、2015年3月末には6,137万件(50.9%)に達し、スマートフォン契約数がフィーチャーフォンを抜いて過半数を超えると予測されている(図1)。特にアンドロイドOSを搭載したスマートフォンの市場普及成長率が高く、2011年3月末の時点では、既に市場の50%程度の普及率を見せるiOS(i-phoneのOS)に迫るシェアの割合となり(図2)、2011年度以降のスマートフォン出荷台数に占めるOS別シェアにおいてはアンドロイドが70%以上で推移すると予測されている。
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