レポート/資料

中国労災事情と企業のとるべき安全対策【中国風険消息(中国関連リスク情報 2015年3月)】

2015.3.1

1.はじめに

産業のグローバル化が急速に進展したことにより、人類の生活も利便性が高まったが、その一方で、人的被害や財物の損壊などをもたらす労働災害(以下、労災)が頻発している。国際労働機関(ILO)の統計によると、全世界で毎日約3,000人が労災で死亡しており、1分間で2人が死亡している計算になる。また、2020年には労働災害の件数は倍増すると見込まれている1

こうした状況を受け、各国では労働安全に関する企業の取組みを重視しており、多くの企業が労災 対策に取組むようになってきている。本稿では、中国における労災の現状、原因および対策について 解説する。

2.中国の労災事故の現状

労災に関しては、中国では「工傷事故」と呼ばれている。「企業職工傷亡事故分類標準」及び「工傷保険条例」によると、中国における労災とは、「工傷保険条例が適用される全ての企業の従業員が、業務中に被った人身傷害や急性中毒事故」を指す。なお、他社に派遣されて業務に従事していた際に起きた人身傷害や急性中毒事故も労災に含まれる。

労災事故の発生態様はさまざまであり、火災、爆発、有毒ガスの漏洩などによる大事故のほか、設備の操作中における腕や脚の切り傷などの軽微な事故も含まれる。なお、中国国内においては、労災事故の発生態様に関する詳細な統計データはなく、政府の安全監査部門が生産安全事故2に関する死傷者の数字を公表するのみである。【表1】に示したグラフは2002年から2014年までの中国国家安全生産監督管理総局が発表した中国全土における生産安全事故の死亡人数を示したものである。

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