レポート/資料

中国で横行する手抜き工事【中国風険消息(中国関連リスク情報)2011年 第10号】

2011.12.1

要約

中国では建設・土木工事における手抜き工事が横行しており、建物や橋などの建造物が突然崩壊したり、短期間のうちに劣化する等の事例が多数発生しています。また、このような建造物の崩壊による事故で死傷者も多数発生しています。

概要

このような手抜き工事が横行していることは、中国国内でも「おから工程」(中国語では「豆腐渣工程;Doufuzha Gongcheng」)と呼ばれ、問題視されています。これは1998年に江西省において、建設直後の堤防が決壊した現場を視察した朱鎔基首相(当時)が、手抜き工事の実態を聞いた際に「豆腐渣工程」と言ったことに由来するようです。

2008年の四川大地震でも、多くの学校で校舎が倒壊した際に、その原因がおから工程によるものではないかという指摘がありましたので、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。

手抜き工事であることが明らかになった主な事例を次のページの表に示します。実際にはこれら以外にも、背景が確認されていないものの、完成後短期間のうちに突然崩壊したり、不自然な壊れ方をしたことから、手抜き工事ではないかと疑われている事例が多数存在します。公共工事での事例が多いものの、民間の建物でもこのような事例が見られるようになってきています。

多くの事例では、手抜き工事によって浮いた費用を関係者が着服したり、他の用途に使用されているようです。行政が関与する事例の場合、必要な基準を満たさないものを行政が黙認するかわりに、浮いた工事費用を官僚と建設業者が山分けするようなケースもあります。

レポートを全て見る