フィリピンの台風・洪水シーズンに備えて【アジアリスク情報 2016年度 No.2】
2016.7.1
6月から12月はフィリピンに台風が襲来する時期になります。過去の自然災害履歴を見ると、フィリピンでは台風によって多くの物理的、人的被害が発生しています。 台風シーズンの到来に際して、企業としては従業員の安全確保を第一に考えた被害防止策を講じると共に、人的・物的被害を最小限に抑えるために、ソフト・ハード両面での備えを再度確認しておく必要があります。
本稿では、フィリピンにおける台風・洪水シーズンに向けた対策と罹災後の対応のポイントをご紹介します。
1.今年の台風発生状況について
今年は6月27日時点で台風1号が発生しておらず、1951年以降の統計データにおいて、台風1号の発生が3番目に遅い年となっています(【表1】参照)。
台風1号の発生が遅くなった年の多くが、エルニーニョ現象がピークを迎えた年の翌年となっています。今年もこのパターンに当てはまっており、2014年夏に太平洋の東部で発生したエルニーニョ現象が2016年春に終息したとみられています。台風の発生場所となっているフィリピン付近に高気圧が強く張り出しており、台風が発生しにくい状況となっています。
また、今年は夏の間にラニーニャ現象が発生すると予測されています。
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