農林水産省「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」を公表
2024.8.7
農林水産省は2024年4月17日、食品製造業の労働生産性向上に向け、製造現場へのロボット等の先端技術の導入を推進するため、ロボット等の先端技術を衛生的に使用するための留意点等をまとめたガイドラインを公表した。
本ガイドラインによると、食品製造業の労働生産性は他の製造業の約60%程度であり、その解決に向けてロボットをはじめとした先端技術の活用が有効とされている。一方、ロボット等の先端技術を食品製造現場へ導入する際には、機械メーカーやシステムインテグレーター(以下SIer)においても2021年6月に義務化されたHACCPに沿った衛生管理に対応する必要がある中で、その指針等が存在しておらず、食品製造現場への導入が進まない一因となっていたという。
本ガイドラインの構成は表1の通り。第2章および別添のチェックリストは主にSIer向け、第3章および第4章は主に機械メーカーとSIer向け、第5章および第6章は主に食品製造事業者向け、第7章は主にSIerと食品製造事業者向けの内容となっている。
食品分野に参入または参入しようとしているSIerや機械メーカー、これからロボットを導入しようとしている食品製造事業者は、本ガイドラインを参考にロボット等の導入を進め、食品安全・衛生の確保を図りながら、労働生産性の向上に取り組みいただきたい。
章 | 題 | 内容 |
---|---|---|
第1章 | ガイドラインの基本的な考え方と定義 | ガイドラインの位置づけや考え方、ガイドライン特有の用語を記載 |
第2章 | ロボットシステム導入に向けた手順 | 導入に向けた15のステップを記載 |
第3章 | 食品製造現場のロボットシステムに使用する食適対応ロボットとして備えるべき機能 | 食適対応(1)ロボットが備えるべき機能を構造、材質、潤滑剤、表面処理に整理して記載 |
第4章 | 食品製造現場において非食適対応ロボットを使用する場合のリスク、危害要因と対策 | 非食適対応ロボットシステムを導入する際のリスク、危害要因と対策、及び非食適対応ロボットを使用する際の衛生設計の考え方を記載 |
第5章 | ロボットシステムの設置から運用開始前までの留意点 | 食品製造現場の視点で設置から運用開始前までに実施すべき事項を記載 |
第6章 | ロボットシステム運用開始後の維持管理 | 食品製造現場の視点で日常運用の管理ポイントを記載 |
第7章 | 教育 | ロボットSIerと食品製造現場管理者に対する教育を記載 |
別添 | 食品製造現場にロボットシステムを導入するためのSIerが実施するチェックリスト | |
参考 | ① 食品に関わる関係者のための衛生管理教育資料 ② 用語解説 ③ 参考資料一覧 |
出典:農林水産省「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」をもとにMS&ADインターリスク総研が作成
1)食品衛生法第十八条で定めている器具及び包装容器に関する内容を満たしていることをいう。
出典: 農林水産省「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」を策定!
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/kigyo/240417.html
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この記事は「PLレポート(食品)<2024年7月号>」(2024年7月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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