高齢者の自動車運転に関する実態と意識について~アンケート調査結果より(2024年版)「リサーチ・レター(2024 No.5)」
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2024.12.2
- 自動車運転に対する自信は高齢になるほど高くなる傾向にある。これは過去に実施した2021年の調査と同様の傾向である。
- 自信の度合いは性別で大きく差がある。75~79歳の男性は78.7%が自信があるとする一方、女性は44.0%と30ポイントを超える開きがある。
- 75歳以上の回答者の約6割は直近の3年間で「ヒヤリ・ハット 」の体験がない(あまりない+ほとんどない)としている。
- 運転上の操作ミスによる「ヒヤリ・ハット」については、20~29歳の回答が最も多かった。
- 運転継続意向は、年齢が上がるほど長くなる傾向がみられる。全体の平均値は76.1歳、中央値は77歳である。
- この5年間ほどは「高齢ドライバー=危険」という印象が定着してしまっている。しかし交通事故の統計データは、若年層、中年層が高齢層よりも安全ということは示していない。
1.調査の目的・背景
警察庁によれば、2023年末時点での我が国の運転免許保有者数は約8,186万人となっている。この値は2019年から減少が続いている。その一方で、認知能力、反射神経、および身体能力の衰えから、事故を起こしやすいとされる75歳以上の運転免許保有者は、2019年末時点の約582万人から146万人増加し、2023年末時点で約728万人となり、全体の8.9%を占めるようになった。
我が国における交通事故および死亡事故件数は年々減少傾向にあったが、警察庁の統計によれば2023年の交通事故は、284,692件(対前年+2.2%)、死亡事故は2,348件(対前年+3.5%)と増加に転じた。このうち75歳以上の運転者による交通事故は30,330件(対前年+13.1%)、死亡事故は384件(+1.3%)となった。これらの背景から、超高齢社会における、高齢運転者の増加と高齢運転者による交通事故および死亡事故の増加という図式が、いよいよ明確になってきたというむきもある。
そこで、高齢運転者の事故防止の取り組みへの貢献を目的とし、2024年11月にMS&ADインターリスク総研は自動車運転者に対するアンケート調査を実施した。本稿では、本調査のデータ分析の結果を紹介し、併せて2021年に同様の目的で実施したアンケート調査の結果との比較も試みる。
2.調査の概要
(1)調査実施期間
2024年11月11日~16日に実施した事前調査において、「月に数回以上運転することがある」と回答した各年代の男女計1,000人を抽出し、2024年11月18日~22日の間にインターネットによる調査を行った。
(2)回答者属性
①年齢
20~29歳、30~59歳、60~64歳、65歳~69歳、70歳~74歳、75歳~79歳の年齢区分ごとに150人、80歳以上が100人 (最若年20歳、最高齢90歳、平均60.9歳)。
②運転の頻度
③職業
無職(28.8%)、専業主婦・主夫(21.4%)、会社員(20.9%)、パート・アルバイト(15.1%)、自営業・自由業(6.1%)、学生(0.4%) 等
④居住地域
3.調査結果
(1) ご自身が運転される時の主な目的(複数回答)
表1にあるように、運転の主な目的について年代を問わず最も回答が多いのが「買い物」である。30歳以上の回答者の90%超が…
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