コラム/トピックス

EUサステナ開示の企業負担軽減、25年上半期の法案提出を表明

2025.1.10

EU理事会は2024年11月8日、域内産業の競争力強化を目的に、サステナビリティ開示の企業負担を軽減する方針などを盛り込んだ「ブダペスト宣言」を採択した。

企業持続可能性報告指令(CSRD)やタクソノミー規則、企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)などへの企業の対応負担を最低でも25%軽減する法案を2025年上半期までに提案するよう欧州委員会に求めた。これを受けて、ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長が、CSRD、タクソノミー規則、CSDDDが求める報告義務の重複を解消するための法案を提出する方針を表明。今後、欧州委で具体的な検討が進む見込みだ。

同宣言は、イタリア首相や欧州中央銀行総裁を務めたマリオ・ドラギ氏が監修し、2024年9月に公表した「欧州の競争力の未来(ドラギ・レポート)」を受けたもの。同報告書は、欧州の規制の多さが域内企業の競争力を阻害する可能性を指摘。具体的には、CSRDやCSDDDなどの各種デューデリジェンスの枠組みに加えて、一般データ保護規則(GDPR)、廃棄物および包装材廃棄物規制などを挙げていた。

ドラギ・レポートに対しては、投資家が、規制の緩和は企業のサステナビリティ情報開示の遅れにつながり、先行する金融機関向け開示規則との乖離拡大を批判する一方で、産業界が早期実施に期待を示していた。一方で、本法案の実際の効果に疑問の声も挙がっている。日系を含めた域外企業への軽減効果はさらに不明確だ。

12月1日に第2次フォンデアライエン体制が発足。100日以内に、本法案を含めた様々なイニシアチブを立ち上げる見込み。

【参考情報】
2024年11月8日付 EU理事会リリース
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2024/11/08/the-budapest-declaration/

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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.10」(2025年1月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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