消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況」を公表
2025.1.15
消費者庁は2024年10月、「食品表示法に基づく自主回収の届出状況」※1を公表した。対象は食品等自主回収(リコール)報告制度の運用が開始された2021年6月1日~2024年9月末時点の届出情報。
図表1のとおり、公開件数の合計は5,584件、内訳としては、喫食により直ちに消費者の生命又は身体に対する危害の発生の可能性が高いものであるCLASSIが3,334件(60%)、喫食により消費者の生命又は身体に対する危害の発生の可能性があるものであってCLASSⅠに分類されないものであるCLASSⅡは2,250件(40%)であった。CLASSⅠのうち91件は、健康被害が発生している。
図表1 食品表示法に関する公開件数
出所:消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況(運用開始(令和3年6月1日)~令和6年9月末時点)」を基にMS&ADインターリスク総研にて作成
回収理由別の発生原因は図表2のとおりで、回収理由として最も多いのは、アレルゲンに関するもので全体の58.6%。その発生要因で最も多いのは「ラベルの貼り間違い」、次に多い要因は「ラベルの誤入力・入力漏れや印字機の不具合」である。回収理由として次に多いのは、期限表示に関するもので全体の31.3%。その発生要因で最も多いのは「ラベルの誤入力・入力漏れや印字機の不具合」である
図表2 回収理由別の発生原因
出所:消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況(運用開始(令和3年6月1日)~令和6年9月末時点)」
厚生労働省・消費者庁へ報告された自主回収の情報は、食品衛生申請等システム※2、リコール情報サイト※3に公表され、商品名、回収理由、想定される健康被害等について確認できる。このうちリコール情報サイトにて公表された2024年11、12月の回収事例から、具体例を図表3に示す。
図表3 アレルゲン、期限表示を理由とした回収事例
出所:MS&AD インターリスク総研にて作成
ラベルの貼り間違いや誤入力等の防止策としては、ラベル貼付前に商品の中身と使用予定のラベルの確認を二者で行う、ラベルの枚数管理記録を確実に残す、印字スタート時に最初の1枚が正しい内容であるか確認できた後に残りの印字をする等がある。なお、チェックシートを使用し、記録を残している場合でも、チェックをすること自体が目的となり、形骸化している場合が4あるため、注意が必要である。
【参考】自主回収を行った食品等のクラス分類
食品等の製造者や販売者から届出された自主回収情報は、自治体にて図表4のようなクラス分類がなされ、厚生労働省・消費者庁へ報告される。
図表4 自主回収を行った食品等のクラス分類
出所:厚生労働省「リーフレット:食品リコールについて(事業者)」
【参考】
1)消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況(運用開始(令和3年6月1日)~令和6年9月末時点)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_recall/assets/food_labeling_cms203_241010_01.pdf
2)食品衛生申請等システム
https://ifas.mhlw.go.jp/faspub/_link.do
3)消費者庁リコール情報サイト
https://www.recall.caa.go.jp/
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この記事は「PLレポート(食品安全)<2025年1月号>」(2025年1月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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