
政府が循環経済移行施策で779億円見込む、市場拡大へ施設整備やイノベーションを促進
2025.2.10
政府は2024年12月27日、「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行加速化パッケージ」を公表した。予算規模は2024年度補正と25年度の合計で779億円を見込む。リサイクル施設の整備支援や資源循環をめぐるイノベーションの促進で循環経済の市場を拡大させ、気候変動や生物多様性の課題解決を目指す。併せて、資源の輸入依存の改善や経済安全保障の強化も狙う。
同日の「循環経済に関する関係閣僚会議(第2回)」で決定した。同会議は、循環型社会形成推進基本法に基づく「循環型社会形成推進基本計画」を政府全体で推進するため、24年7月に第1回を開催。官房長官を議長に、副議長が経済産業相と環境相、メンバーに農林水産相や国土交通相などで構成する。第1回と第2回の間に、岸田内閣から石破内閣に移行。新旧の両首相ともそれぞれの会議に出席している。
パッケージは会議メンバーの各省政策で構成。(1)地域の資源循環を生かした豊かなくらしと地域の実現、(2)国内外一体の高度な資源循環ネットワークの構築、(3)資源循環市場の創出拡大に向けた国内外のルール形成―の3領域でそれぞれテーマを設定している。具体策として、小型家電からのレアメタル回収等が可能な先進的リサイクル設備への投資や微生物や植物の代謝機能を用いて廃棄物を循環させる「バイオものづくり」などのイノベーションを促進する施策が盛り込まれた。
<図表:循環経済への移行加速化パッケージ概要>

(内閣官房資料をもとにインターリスク総研作成)
循環経済の分野では気候変動のTCFDや生物多様性のTNFDのような情報開示の枠組みがないことから、循環経済に関する国際ルール形成の主導も取り組みに掲げた。パッケージには地方創生や消費者庁の政策も盛り込まれており、地域経済の活性化や食品ロス削減などの課題解決を図る。
政府が公表する試算で循環経済の国内市場規模は20年に50兆円だが、30年には80兆円に拡大する見込み。パッケージの実行で同年までの達成を目指すとしている。
【参考情報】
2024年12月27 日付 内閣官房HP:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/economiccirculation/dai2/gijisidai.html