レポート/資料

2025年3月28日にミャンマー中部で発生した地震について①【InterRisk Asia Report 2025 No.01】

[このレポートを書いたコンサルタント]

会社名
InterRisk Asia (Thailand) Co., Ltd.
執筆者名
President  江﨑 隼輝 Hayaki Ezaki

2025.4.2

2025年3月28日、ミャンマー中部の大地震により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

要旨
  • 2025年3月28日、ミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大きな地震(以下、本地震と呼ぶ)が発生し、隣国タイ、中国、ベトナム等でも揺れを観測しました。
  • ミャンマー各地で建物倒壊や多数の人的被害の深刻な被害が生じています。
  • 震源から1000km以上離れたタイ・バンコクにおいても長周期地震動によって高層ビルが大きく揺れ、多くの建物に損傷被害を生じ、建築中のビルが倒壊するなどにより死者・行方不明者が発生しています。また、地震後は多くの高層ビルが閉鎖、交通インフラも一時的に麻痺したことからオフィス街を中心に多くの人が街中に溢れ、一時的に帰宅困難者が生じました。
  • 本地震はミャンマーを南北に貫くザガイン断層で発生したとみられ、従来より同地域における大地震の発生が懸念されていました。地震から3日以上経過した現在もザガイン断層および周辺で活発な余震活動が続いており、更なる地震の発生に警戒が必要です。

4月2日追記:続報レポートも掲載しています。あわせてご覧ください。

レポート② 長周期地震動による被害と地震後の安全点検

レポート③ 事業の継続に必要な企業の対応

地震概要

ミャンマー現地時間2025年3月28日昼過ぎ12時50分頃(タイ時間13時20分、UTC 6時20分)、同国中部を震源とするモーメント マグニチュード (Mw) 7.7(米国地質調査所 USGS速報値 1))の地震が発生しました。本地震により、震源近くのミャンマー第2の都市マンダレーや首都ネピドーを中心に深刻な建物・構造物の倒壊の被害が生じており、また、震源地から約500km離れた同国ヤンゴンやタイ・チェンマイおよび中国・雲南省、加えて1000km以上 離れたタイ・バンコク、ベトナム・ハノイ等でも揺れを観測しました。

図表. 本地震の震源位置(星印)と推計震度分布*、主な都市別の震度*および推計人口
図表. 本地震の震源位置(星印)と推計震度分布*、主な都市別の震度*および推計人口(出典:USGS 1)
*震度はメルカリ震度スケールを表示

ミャンマーの被害状況

USGSによると、震源近くのマンダレーおよび周辺地域ではメルカリ震度スケールで8-9程度の揺れが推定されており、単純な比較はできないものの、日本気象庁における震度階級の震度6弱~6強程度、場所によっては震度7相当の揺れに見舞われた地域もある可能性があります。 ミャンマーでは少なくとも13,000軒以上の建物が倒壊・損壊し、マンダレー国際空港のターミナル建物においても深刻な構造被害が生じたと報告されています。また、首都のネピドー国際空港においても管制塔が倒壊するなどの被害が報告されており、空路に大きな支障が生じています 2)。マンダレーやネピドーでは電気・水道などのインフラにも深刻な被害が生じています。

ミャンマー軍事政権は3月31日の声明でこれまでに2000名以上が死亡、3900名以上が負傷、その他多数の行方不明者が生じていると発表しました 3)。USGSの予測では死者数は1万人を超え、経済被害額はミャンマーのGDPを超える可能性があるとされており、被害の全容が判明するまでには暫く時間を要する見込みです 1)

タイの被害状況

タイにおいては チェンマイおよびバンコクにおいてメルカリ震度スケールで5程度と推計され、バンコクにおいては体感で震度3~4程度の揺れを感じました。特に高層ビルにおいては、長周期地震動とみられるゆっくりかつ大きな振幅での揺れが生じ、多くの高層ビルにおいて被害が生じています。バンコクのチャトチャック市場すぐ近くで建設中であったタイ政府系の新庁舎ビルが倒壊し、30日時点で10名の方が死亡、多数の方が行方不明となっています。この他にもビル工事クレーンの落下等の被害により、30日時点で全体で18名の死亡、33名の負傷、78名の行方不明者が報告されています 4)

死亡者・行方不明者・けが人の殆どはバンコクおよび周辺地域で確認されており、タイのペートンタン首相は28日、バンコクを対象とする非常事態宣言を発出しました。また、バンコク都庁(BMAは30日時点で9500件の建物被害の報告を受け付けており、最も深刻なケースから順に専門エンジニアによる詳細調査を実施支援すると表明しています 4)5)。・・・

チャトチャック地区の建設中ビル倒壊現場
チャトチャック地区の建設中ビル倒壊現場
(2025年3月29日筆者撮影)

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