海洋関連課題の概説と国際的な動向 ―国連海洋会議での議題を含めたポイントの紹介-【サステナブル経営レポート(2025年8月)】
[このレポートを書いたコンサルタント]
- 会社名
- MS&ADインターリスク総研株式会社
- 所属名
- リスクコンサルティング本部
リスクマネジメント第五部
サステナビリティ第一グループ - 執筆者名
- 主任コンサルタント 坪井 絵里子 Eriko Tsuboi
2025.8.1
- 2025年6月9日~13日の5日間、フランス・ニースにおいて第三回国連海洋会議(UN Ocean Conference:UNOC3)が開催され、筆者も現地参加した。
- UNOC3のメインテーマは「海洋の保全と持続可能な利用に向けた行動の加速とあらゆる主体の動員」であり、持続可能な開発目標(SDGs)の中でも特にSDG14(海の豊かさを守ろう)の達成に向けて、様々な主体が協力して行動を起こす必要があることが改めて強調された。
- 海洋関連の課題は生態系の保全や汚染問題など多岐にわたるため、本稿では特に企業との関連性が深いテーマを中心に国際的な動向を紹介し、UNOC3におけるポイントをいくつか抜粋して解説する。
1.はじめに
2025年6月、第三回国連海洋会議(UN Ocean Conferece:UNOC3)がフランス・ニースで開催された。ニューヨーク(2017年)、リスボン(2022年)に続く3回目の開催であり、フランスとコスタリカの2ヵ国の共催によって「海洋の保全と持続可能な利用に向けた行動の加速とあらゆる主体の動員」をテーマに実施された。
会議の場では、海洋に関するあらゆる課題について議論された。例えば以下のようなテーマである。
- 海上輸送を始めとする産業活動からのGHG排出
- 海洋生態系の保全のための取り組みや保護地域の拡大
- 持続可能な海洋資源の利用
- IUU(違法・無報告・無規制)漁業
本稿においては、これまで議論されてきた海洋関連課題の国際的な動向の中で企業の事業活動に関連するテーマを中心に概説し、UNOC3で示された直近の海洋関連の動向や議題を紹介する。
2.海洋関連の課題・国際的な動向について
2-1.国際的な海洋関連の目標
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地球の約7割を占める海洋に関して、これまで幅広いテーマで国際的な議論が行われてきた。国際的な目標の一つである2030年のSDG14(海の豊かさを守ろう)の達成のためには科学的な知見の蓄積や協力が不可欠であるとして、2017年12月の国連総会において「国連海洋科学の10年」と称し、2021年~2030年の間、海洋関連課題に集中的に取り組むことが宣言された。2025年はちょうどその中間年にあたる。さらに2022年には生物多様性条約のもとでグローバル生物多様性枠組み(GBF)が採択され、2030年までに陸域と海域のそれぞれ30%を保護する(30by30)などの目標も定められた。
UNOC3においても随所でSDG14のターゲット(下表)に触れながら、その達成に向けた議論が行われた。
【表】SDG14のターゲット(当社より一部要約)※1
14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む陸上活動によるあらゆる海の汚染を防ぎ、大きく減少する
14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に対する重大な悪影響を回避し、健全で生産的な海洋のための回復措置を講じる
14.3 あらゆるレベルでの科学的な協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限に抑え、対処する
14.4 2020年までに、過剰漁業、違法・無報告・無規制漁業(IUU漁業)、破壊的な漁業慣行を根絶し、科学的根拠に基づいた管理計画を実施することにより、水産資源を最大持続生産量を生み出せる水準まで回復させる
14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、入手可能な最良の科学情報に基づき、沿岸域及び海域の少なくとも10%を保全する
14.6 2020年までに、過剰漁獲等につながる漁業補助金を禁止し、IUU漁業につながる補助金を撤廃し、新たな補助金の導入を控える
14.7 2030年までに、持続可能な漁業管理、養殖業、観光業などを通じて、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国における海洋資源の持続可能な利用による経済的便益を増大させる
14.a 海洋の健全性を向上させ、開発途上国の開発に対する海洋生物多様性の貢献を高めるため、科学的知識の向上、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う
14.b 小規模零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する
14.c 海洋及びその資源の保全と持続可能な利用のための法的枠組みを規定する国連海洋法条約に反映された国際法を実施することにより、海洋及びその資源の保全と持続可能な利用を強化する
海洋関連の課題は様々だが、SDG14でも挙げられている通り、プラスチックや栄養汚染などを含む陸上由来の汚染、海洋由来の汚染、海洋生態系の破壊、海洋酸性化、IUU漁業、海洋資源の減少などがその一部として挙げられる。また、気候変動の影響によるサンゴ礁の白化や海洋生態系の生息域の変化なども、国際的な海洋関連課題の一つと言える。
これらの課題に対応するため、例えば海洋におけるプラスチック濃度のデータ取得の精緻化やサンゴ礁の現在の状態といった海洋データの取得や科学的知見の向上、IUU漁業の根絶のための漁業の適正な規制と持続的な管理をサポートする取り組みの実施、海洋に関係深い産業の自然に与えるインパクトや取り組みといった内容が、国連海洋会議においても種々のイベントで協議された。
2-2.ブルーエコノミーの促進
ブルーエコノミーは、「海洋生態系の健全性を維持しながら、経済成長、生計の向上、雇用のために海洋資源を持続的に利用すること」と定義されている※2。具体的には、漁業や水産養殖、海運、サンゴ礁やマングローブなどを始めとする沿岸・海洋観光、洋上風力や海水淡水化、海底の資源採掘といった事業が深く関係していると言える。これらの産業セクターは、海洋の資源や景観などの生態系サービス※3に依存し、インパクトを与えている。与えているインパクトを回避・低減し、修復・再生していくことは、自らの産業のためにも重要な取り組みである。
観光セクターにおいては、6月7日にUNOC3の特別イベントの場において、持続可能な沿岸・海洋観光を構築するための「海洋観光協定(Ocean Tourism Pact)」が発足された※4。これは、フランス政府、持続可能な開発と国際関係研究所(The Institute for Sustainable Development and International Relations)、海洋と気候プラットフォーム(Ocean & Climate Platform)の3機関によるものである。同協定では、2021年にCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)にて発表された観光における気候変動対策に関するグラスゴー宣言や観光分野におけるプラスチック廃棄物削減を目的とした国際的な取り組みといった行動を推進していくとしている。
魚、カメ、サンゴ礁、海洋哺乳類などの海洋生態系や海そのものの景観、またそれらを楽しむためのレクリエーション(シュノーケリング、ダイビング、カヤック等)は、観光セクターが深く依存している生態系の文化的サービスと言える。沿岸・海洋の観光セクターは、年間1兆5,000億ドルの利益を生み出し、世界中で5,200万人の雇用を支えており、重要な海洋関連セクターの一つであると言える。
2-3.プラスチック条約の最終化
2022年2月から3月にかけて開催された第5回国連環境総会(UNEA5.2)において、海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染対策に関する法的拘束力のある国際文書(条約)、いわゆる「国際プラスチック条約」を政府間で議論・採択していくことが決定された。同条約はライフサイクル全体におけるプラスチックの環境への影響を削減することを目的に、生産、使用、廃棄等各段階でどういった国際的な取り組みを推進していくかを定めることとしている。
本来2024年11月に開催した INC5(政府間交渉委員会第5回会合)において本条約は採択される予定であったが、いくつかの条文において参加国の意見がまとまらず、2025年8月に改めての最終化を予定している※5。
交渉が難航している条文の一つに、プラスチックの生産量の上限制限を設けるか否かがあり、特に産油国を中心に反対の声が上がっている。海洋のみならず幅広いセクターに関係するプラスチック問題において、世界的な目標を定めてそもそもプラスチックの生産を抑制するのか、使用または廃棄の段階での取り組みに注力することとなるのか、プラスチック条約の最終化においてどのような結論が下されるかについては、注視する必要がある。
2-4.TNFDセクターガイダンスの公表
今回の国連海洋会議に合わせて、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は新たに2つのセクターガイダンスを正式に公表した。今回公表されたガイダンスは海洋に深く関係する漁業、海運業が対象であり、関連するセクターの企業はガイダンスを参照することで、自社の自然関連課題(依存・インパクト、リスク・機会)の特定や取り組みの検討に役立てることができる。
例えば海運業は国際貿易上重要な役目を持っている一方で、航行そのものや操業によるGHG排出、平時および事故発生時の海洋汚染(海中騒音を含む)、SOx・NOx(硫黄酸化物・窒素酸化物)等による大気汚染、水中騒音や海洋の生物との衝突、バラスト水や船体付着等による外来種の越境移動など、運航の過程で様々な環境社会へのインパクトの可能性を抱えている。こういった自社と自然との関係性の把握は、自然関連のリスク・機会の特定のための第一歩となる。
TNFDはセクターガイダンスの公表に合わせて、海洋関連データ取得の課題に関するディスカッションペーパーも公表しており、以下の課題を挙げている。
- 広大さ:海洋は地球表面の約71%を覆っており、包括的な測定が困難である。
- 深さ:平均的な海洋の深さは3,796 mであり、深海の測定には専用の機器が必要である。
- リモートセンシングの限界:衛星技術は日々向上しているが、海中の状況をリモートで測定することは依然として困難である。
- 動的環境:海流等により海は常に変動しており、経時的に一貫した測定を行うことは困難である。
- 垂直変動:海洋の特性は深さによって大幅に変化する可能性があり、複数の水深での測定が必要である。
- 生物学的要因:海洋生態系は、物理的・化学的システムと相互作用する生物学的プロセスを通じて、海洋測定を複雑化している。
- 現場測定の限界:陸上の淡水システムとは異なり、海洋の観測は度々リモートセンシングと現場測定に大きく依存している。また、生物学的データはほとんどが海上で手作業で収集され、広範な検証と分析を必要とするため、コストと労力がかかる。
- 歴史的データの不足:海洋の長期的なデータセットは陸上の記録よりも一般的でないため、基準値と傾向を確立することが困難である。
また、科学的根拠に基づく環境目標策定イニシアチブ(Science Based Targets Network:SBTN)は2025年3月、海洋域に関する科学的根拠に基づく目標設定手法を公表した。現時点で海洋域の目標は①乱獲の回避と削減、②海洋生息地の保護、③ETP種(海洋漁業における絶滅危惧種や保護対象種)のリスク低減という3つが設定されており、漁業・養殖業の企業が参照できるようになっている※6。
3.第三回国連海洋会議について
3-1.フォーラムの概要
今回の第三回国連海洋会議は、フランス南東部の沿岸にある都市ニースで6月9日から5日間にわたって開催された。本会場(ブルーゾーン)はニース港に設けられ、各国代表、プレス、メディアおよび国連に承認された組織(研究機関、国際機関、NGOなど)のみ参加できる。一方、本会場から徒歩30 分程度には誰でも入場可能な別の会場(グリーンゾーン)が設けられ、15種のパビリオンで展示、ワークショップ、パネルディスカッションなど様々なサイドイベントが開催された。


【写真】サイドイベント会場の様子
本会場では公式の会議であるPlenary meetingsとOcean Action Panelsの2種類の会議が行われ、各国連加盟国の海洋課題へのコミットメントの発表や対話が実施された。また、公式の会議とは別に、多様な主体による様々なサイドイベントが実施された。
Ocean Action Panelsにて議題となったのは、以下の10の海洋行動である。
- 深海生態系を含む海洋・沿岸生態系の保全、持続可能な管理、および回復
- 海洋関連の科学的な協力、知識、能力開発、海洋技術、教育を強化し、海洋の健全性に関する科学と政策の連携を強化する
- SDG14の達成を支援する海洋活動のための資金動員
- 陸上活動によるあらゆる種類の海洋汚染の防止と大幅な削減
- 小規模漁業者への支援を含む持続可能な漁業管理の促進
- 持続可能な海洋経済、持続可能な海上輸送、そして誰一人取り残さない沿岸コミュニティのレジリエンスの推進
- 海洋、気候、生物多様性の相互関係の活用
- 地域および小地域レベルにおけるあらゆるステークホルダーの協力の促進と支援
- 貧困撲滅と食料安全保障における海洋からの持続可能な食料の役割の促進
- 国連海洋法条約(UNCLOS)に反映された国際法を実施することによる、海洋とその資源の保全と持続可能な利用を強化
3-2.UNOC3での注目ポイント
筆者が参加したサイドイベントの議論を踏まえ、今回の会議のポイントと考えられる議題を紹介する。
(1)BBNJ協定/海洋保護区
UNOC3の注目点の一つに、国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定:Marine Biological Diversity of Areas Beyond National Jurisdiction)の批准国の数が60を充足するかがあった。BBNJ協定は、「いずれの国の管轄にも属さない区域(Areas Beyond National Jurisdiction)」における海洋生物の多様性についても、その保全及び持続可能な利用に関するルールが必要として2023年に採択された協定である。この協定は批准国が60ヶ国を超えた120日後に発効することとなっており、今回のUNOC3までに批准国が規定数を超えることが一つの目標とされていた。
同協定は30by30達成においても重要となる公海の保護区の設定や海洋遺伝資源の利用(利益の公正かつ衡平な配分を含む)、環境影響評価の実施など、公海上の様々なルール設定のために必要であり早期の発効が望まれている。
本会議を経て、署名国137ヶ国、批准国51ヶ国(2025年6月20日時点)と、5月末の21ヶ国から大きく数字は伸ばしたものの60ヶ国には満たない結果となった※7。ただし議会承認手続きに向けて準備中の国も多く、早晩、発効するものと推察される。日本は現在批准に至っていないが、環境省が2025年6月に「公海等における環境影響評価の実施に関するガイドライン」 を公表するなど、関連する取り組みを進めている※8。このガイドラインは公海等における、または公海等に潜在的な影響を及ぼす可能性のある活動の実施の決定を行う前に、当該活動の環境影響評価を事業者が実施する際の手続きを定めている。
海洋保護区(Marine Protected Areas)に関するイベントでは、保護区を設定する重要性や、適切な保護区の設定のために海洋生態系のデータを取得することが強調されていた。一方で保護区の管理に関する規制・ルール作りが明確でないこと、また保護区での海洋環境のモニタリングが困難であることが課題として挙げられていた。前者に関しては実際に海洋保護区内での底引き網漁などがこれまでもたびたび問題となっており、本会議においてはフランスやイギリスなどが一部の保護区で禁止する方針を発表している※9。また本会議中に、2018年に創設した「海洋パネル」が、自国海域領域の100%を持続可能に管理することにコミットする「100%アライアンス」を正式に発足した※10。
(2)海洋データの取得、科学的知見について
他のサステナビリティ課題と同様に、会議中多くのイベント内において「海洋生態系を含む海洋関連データの取得」とそれに基づく「科学的な知見」、これらの学術的領域と「国際的/地域的な規制」、「資金動員」などの連携が重要であることが言及された。
先ほど紹介したTNFDのディスカッションペーパー内でも、科学的知見を得るための海洋関連データの取得が重要な課題として挙げられている。生態系データの取得方法として例えば衛星データが挙げられるが、衛星データはサンゴ礁の状態などの沿岸の生態系データの取得に役立つ一方で、水中の状況を捉えることは困難である。また、衛星画像に限らず海洋関連のデータを一度取得して以降、継続的にデータを取得し続けることがコストなどの関係で困難であることも課題の一つとされている。
海洋関連データをテーマにしたイベントは多く確認され、例えば中国アフリカ海洋科学ブルー経済協力センターらが開催するイベントにおいては、海水温や波の状態等をブイによってモニタリングし、データを公開するツール「Coastal city Ocean-based Solution Toolkit for sustainable development(COAST)」を発表した。
またNPI(Nature Positive Initiative)※11は、6月9日に海洋における「ネイチャーポジティブ」の測定に関する合意形成に向けたパートナーシップを発表した。同イニシアティブは2025年1月に陸域の自然の状態を評価するためのState of Nature(SON)指標のドラフト版を公表しており、海洋においても「ネイチャー・ポジティブ」を正確かつ有意義に測定するための指標について議論し、重要なデータとモニタリングのギャップ、および優先課題を特定するため、活動を進めていくとしている。
(3)海洋関連セクターのインパクト低減に向けた取り組みについて
本会議のイベント上で、特に海と関連深いセクターとして、海運、漁業、金融等に関するイベントが多く確認された。
海運セクターについては大きくGHG排出、スクラバー、水中騒音によるかく乱といったインパクトに関する議題が特徴的だった。海運セクターの大きな課題の一つであるGHG排出については、海運セクターだけでなく次世代燃料を使用する船舶の造船、港湾における次世代燃料補給(バンカリング)拠点や港湾施設そのものの陸上電力供給システムなどを通じたカーボンニュートラル化など、サプライチェーンを通じた協力的な取り組みが必要であるということが強調されていた。
また(2)の海洋関連情報の収集ともつながる話題として、海運セクターなどの保有する船舶を利用した大規模なデータ収集も言及されていた。こういったデータ収集の例として、「10,000 ships in the ocean initiative」が挙げられる。同イニシアティブは、リアルタイムの天気や海洋データを提供する観測機器を搭載した船舶の数を、商業船を巻き込んで2035年までに10,000隻にすることを目標にしている。
金融機関・保険セクターに関連するイベントの一つとして、AXA Climateらは沿岸の洪水リスク緩和に寄与するサンゴ礁の価値を評価して保険に組み込む事例や、マングローブを回復するプロジェクトを実施している地元の漁師をハリケーンから保護するための保険事例など、海洋生態系の与える生態系サービスや、生態系の保全と関連付けられるような保険のデザインをいくつか紹介していた。
OECDは、海洋関連の産業が生み出す年間経済価値が2030年までに3兆ドルに達する可能性があると予測している※12。今後ますます産業が発展していく中で、健全な海洋を保ちながら事業活動を行っていくため、ブルーエコノミーの実現が望まれる。
4.最後に
本稿では海洋関連の国際的な課題の概説と、6月のUNOC3において議論されたテーマや発表された内容を紹介した。直近の国際的な動向として、国際プラスチック条約の最終化において決定される条項や、BBNJ協定の発効のタイミングなどが引き続き注目される。
本年度のUNOC3は、各国政府の海洋に関するコミットメントの発表など政策的な行動から、科学者らによる海洋研究、産業セクターの立ち位置など、海洋の保全と持続可能な利用に向けて様々な議論が行われ、海洋保護区の拡大や海洋汚染への対策、脆弱な島嶼国への資金動員などを組み込んだ「ニース海洋行動計画」を採択して閉会した※13。
特に海洋に深く関係する企業においては、自社が依存し、インパクトを与えている海洋環境の健全性を保ちながら事業活動を実施していくために、TNFDやSBTNにおいて発行されているガイドライン等を参照しながら自社の自然関連課題(依存・インパクト、リスク・機会)を特定・管理し、インパクトを低減するような取り組みに努めていくことが求められる。
またUNOC3において日本の参加者や日本が主導するイベントが少なく、プレゼンスがあまり感じられなかったことは残念であった。日本は地理的にも海洋国家であることから、持続可能な海洋国際政策において、よりイニシアチブを取ることが期待される。
1)国連開発計画(UNDP)HP:https://www.undp.org/ja/japan/sustainable-development-goals/
2)世界銀行 HP:https://www.worldbank.org/en/programs/problue
3)食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みのこと。
4)IDDRI HP:https://www.iddri.org/en/about-iddri/press-releases/launch-ocean-tourism-pact
5)国連環境計画(UNEP)HP:https://www.unep.org/inc-plastic-pollution/session-5
6)SBTN HP:https://sciencebasedtargetsnetwork.org/news/news/sbtn-launches-first-ocean-science-based-targets-for-seafood/
MS&ADインターリスク総研 RM NAVI「SBTNが初の海洋域に関する目標設定手法を公表」(2025/5):https://rm-navi.com/search/item/2155
7)United Nations Treaty Collection HP:https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=XXI-10&chapter=21&clang=_en
8)環境省「公海等における環境影響評価の実施に関するガイドライン」:https://www.env.go.jp/content/000320443.pdf
9)Client Earth HP:https://www.clientearth.org/latest/press-office/press-releases/uk-and-france-pledge-to-ban-bottom-trawling-in-protected-areas-lawyers-call-for-enforcement/
10)High Level Panel for A Sustainable Ocean Economy HP:https://oceanpanel.org/100-alliance/
11)「ネイチャー・ポジティブ」という言葉の定義や整合性等の調整を推進し、ネイチャーポジティブ達成に向け広範で長期的な取り組みを支援することを目的としているイニシアティブ。
12)OECD HP:https://www.oecd.org/en/publications/the-ocean-economy-to-2050_a9096fb1-en.html
13)United Nations HP:https://press.un.org/en/2025/sea2231.doc.htm
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