レポート/資料

ESGリスクトピックス 2025年度 No.5

RM NAVI会員(登録無料)のみ全文閲覧できます

2025.8.1

男女格差ランキング、日本は今年もG7最下位、根強い政治・経済の低迷が全体引き下げ

2025年8月発行の『ESGリスクトピックス<2025年度第5号>』では、上記を含む以下のトピックを取り上げています。

  • 国内企業の非財務情報開示が充実も、本業寄与の「説明力」が課題、IR実態調査
  • TNFD・GRI 生物多様性・自然関連情報開示に関する事例集を共同発表
  • 2025年版「持続可能な開発報告書」:SDGs達成への課題と企業への示唆
  • 個人情報の漏えい、過去最多 個人情報保護委員会が年次報告を公表
  • 金融庁「取締役会の機能強化の取組みに関する事例集」を公表
  • カスハラ対策や就活セクハラ対策を企業に義務づける改正法が成立

ここでは以上のトピックの中から「男女格差ランキング、日本は今年もG7最下位、根強い政治・経済の低迷が全体引き下げ」をご紹介します。

男女格差ランキング、日本は今年もG7最下位、根強い政治・経済の低迷が全体引き下げ

世界経済フォーラム(WEF)が2025年6月11日に発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書2025」によると、日本の男女間の格差は依然大きく、スコアが世界平均以下と低迷していることが明らかになった。

レポートによると、日本の「平等スコア」(男女平等達成度)は総合で0.666。前年比で0.003ポイント改善したものの、順位は前年と同じ118位(148か国中)。今年も、主要7カ国(G7)で最下位となった。なお、世界全体のスコアは0.688で、日本は下回った。同スコアは、「1」が完全に平等な状態を示す。

カテゴリー別では、教育や健康分野で例年通り、格差が比較的小さい。順位は、教育が72位(前年66位)、健康が50位(同58位)だった。一方で、依然深刻なのは経済と政治の両分野だ。レポートが「スコアの改善が顕著」と評した経済だが、順位は依然112位(同120位)にとどまる。労働参加率や賃金などが若干改善したものの依然低水準。とりわけ、女性管理職比率の低さは際立っており、前年より3ランク上昇したものの127位と低位に沈んだ。例えば、経済協力開発機構(OECD)の20年当時の統計で、フルタイム正社員の男女賃金差は22.1%と先進国中で最低クラスだった。経済参画において女性の能力発揮を阻害する社会構造的問題が根強く残ることが推察できる。

また、例年、全体スコアの引き下げ要因となっている政治は総合で0.085と前年(0.118)から大きく後退、順位も12位ダウンの125位だった。昨年のレポートでは、23年9月の第2次岸田内閣で女性が5人入閣したことなどを受けて政治のスコアは過去最高値を記録。しかし、24年11月発足の石破内閣で女性閣僚が2人に減ったことなどで一転した。女性の国会議員比率のスコアも0.186と低く、意思決定層での男女不平等が顕著と評価された。

日本政府は25年6月、格差改善を目指して「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)2025」を決定している。▽女性役員比率の向上▽女性活躍推進法の延長・強化▽賃金格差の是正と支援――などを重点項目に挙げた。

一方、今回のレポートでトップはアイスランドで16年連続。次いでフィンランド、ノルウェーと続き、上位はEU加盟国が目立つ。また、米国も所得格差や健康寿命に課題があるものの、教育は完全平等で、経済参加も高水準を維持した結果、前年より1ランク上昇の42位だった。

WEFは、同レポート初版の2006年から現在までに格差が改善したペースを前提にすると「世界のジェンダー平等達成にはあと123年かかる」と指摘し、極めて緩慢な改善状況に警鐘を鳴らしている。

上位の国では、2023~2024年にかけて以下のような政策が打ち出している。

                                   
EU 上場企業取締役のジェンダーバランス改善指令 全取締役の女性比率33%以上を求める。
賃金透明性指令 従業員100人超企業に男女賃金格差の定期公表義務化。
スペイン 男女同数法(平等な代表法) 政党の選挙候補者を男女各40%以上、上場会社の取締役会で女性40%以上などを義務化。
生理休暇の法制化 体調不良を伴う場合に有給休暇が取得可能。
米国 賃金透明化法(ニューヨーク、カリフォルニア、コロラド各州など) 求人票への給与下限・上限明示などを義務化。
妊娠労働者公平法(連邦法) 妊娠中・出産後労働者への合理的配慮を企業に義務付け。

(出典:下記1~3をもとに当社作成)
1. Reuters(2023年3月4日)「Spain announces law promoting gender parity in politics and business」: https://www.reuters.com/world/europe/spain-announces-law-promoting-gender-parity-politics-business-2023-03-04/
2. 欧州理事会プレスリリース(2023年4月24日)「Gender pay gap: Council adopts new rules on pay transparency」 https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2023/04/24/gender-pay-gap-council-adopts-new-rules-on-pay-transparency/
3.Sustainable Japan(2023年4月26日)「EU給与透明性指令が成立。前職給与確認禁止。男女賃金格差の当局報告義務も」 https://sustainablejapan.jp/2023/04/26/eu-pay-transparency-directive/89368

【参考情報】
2025年6月11日付 世界経済フォーラムHP:https://www.weforum.org/publications/global-gender-gap-report-2025/

ここまでお読みいただきありがとうございます。
以下のボタンをクリックしていただくとPDFにてほかのトピックスを含めた全文をお読みいただけます(無料の会員登録が必要です)。

会員登録で レポートを全て見る