コラム/トピックス

米司法省が「海外腐敗行為防止法の調査および執行に関する新指針」を公表

2025.9.3

米国の司法省は2025年6月9日、「海外腐敗行為防止法(FCPA)の捜査及び執行に関する新指針」を公表した。これは、25年2月にトランプ米大統領が、米国の経済と国家安全保障を促進するため、司法省に対して既存の海外腐敗行為防止法に関する調査および執行措置を詳細に見直し、新たに指針を発行するよう命じたことを受けたものである。

本指針では、米国の海外腐敗行為の調査において以下の要素を考慮することが示された。

  • カルテルと国際犯罪組織の完全排除
  • 米国企業の公正な機会の保護
  • 米国の国家安全保障の推進
  • 深刻な不正行為の調査の優先

いずれも、大統領令を踏まえて米国の経済や企業活動を守るための観点を強調するものとなっており、米国企業および個人の競争機会の確保と経済的損害の防止の優先が明示されている。また、米国の国家安全保障の推進として、重要な分野(鉱物資源、防衛、エネルギー、インフラなど)に関わる汚職行為を最優先で調査・執行する旨も明示されている。

FCPAでは、米国に拠点がない場合や米国域外での行為、第三者を通じて間接的に行われる行為も対象となる場合があり、日本企業においても当該認識のもと、対策を実施していることが想定される。

本指針を踏まえると、日本企業も、特に米国企業を競合とするような場面では、調査や執行の対象となるリスクが高まることが想定されるため、法の運用状況等について動向を注視することが望ましい。

【参考情報】
米国政府HP:https://www.justice.gov/dag/media/1403031/dl

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