コラム/トピックス

~運輸事業者における「内部監査」とは~

[このコラムを書いたコンサルタント]

金井 昭樹
専門領域
運輸総合コンサル相談、
運輸安全マネジメント、管理者研修、
フォークリフト調査、
高齢運転者支援、
セーフティバス認定支援
役職名
リスクマネジメント第二部 
運輸総合リスクマネジメントグループ 
マネジャー上席コンサルタント
執筆者名
金井 昭樹 Shoji Kanai

2026.1.29

組織の安全管理体制に係る取組の不具合や問題点を把握するためには、「内部監査」が重要な役割を果たす。運輸事業者において実践が求められている運輸安全マネジメントでも内部監査に関する項目があり、14項目にて構成されている「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)では、安全管理体制に係るPDCAサイクルの「C:Check」の部分の取組に該当する。本内部監査では、経営トップ、安全統括管理者等の経営層に対して少なくとも1年毎に実施する(重大事故等が発生した際には適宜)とされており、経営層における安全取組への関与について確認が必要となる。

なお、本ガイドラインは、令和5年6月に改訂があり「輸送の安全を確保する上で、自社を取り巻く環境の変化に伴う新たな課題に適時、適切に対応しているかを確認すること」が新たに明記されており、現時点の自組織の「課題抽出」や「優良事例の収集・展開」のみならず、「自社を取り巻く様々な環境の変化に伴い、新たに生じる安全上の課題を的確に把握して対応すること」も監査における取組として求められている。

一方で、運輸事業者における運輸安全マネジメントの内部監査取組の実態として、「現業実施部門に対する業務監査が主体となっている」、「形式的になってきており、毎年課題が1つも見出されず、実効性を伴っていない」、「内部監査要員の力量が不足している」、「内部監査を実施する時期が遅く不適切なタイミングで実施している」などのケースが散見される。

これらの背景としては、内部監査に関する経営層における認識や理解の不足、社内の人材不足、内部監査要員の教育訓練不足などの要因がある。この場合には、親会社、グループ会社、協力会社、民間の専門機関等に対し、内部監査の実施または内部監査要員に対する教育・訓練の支援を仰ぐことを検討されたい。

内部監査の目的は、安全管理体制上の優れた取組及び「事業の安全に関するリスク」を見出し、対応を促すことであり、本取組を通じて、可能な範囲で課題・問題点への対応について提案を行うことにより、安全管理体制の向上が期待できる。したがって、運輸事業者は、「安全管理体制の構築・改善の取組が、安全管理規程、その他事業者が決めた安全管理体制に関する規程・手順に適合しているか」、「安全管理体制が適切に運営され、有効に機能しているか」を丁寧に確認する必要がある。運輸事業者各社におかれては、実効性のある「内部監査」を通じて、自社の実態確認・課題整理を行い、事業年度ごとの総括となるマネジメントレビューのインプット情報として活用いただきたい。そして、次年度の取組につなげることで安全管理体制の継続的改善に取り組んでいくことが求められる。

(2026年1月22日三友新聞掲載弊社コラム記事を転載)

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