日本発のウェルビーイングISOガイドライン認定 ~ISO 25554:2024に準拠した第三者認定制度の概要と今後の見通し~【人的資本・健康経営インフォメーション 2025年度 No.3】
[このレポートを書いたコンサルタント]

- 会社名
- MS&ADインターリスク総研株式会社
- 部署名
- リスクコンサルティング本部 リスクマネジメント第四部
人的資本・健康経営グループ - 執筆者名
- 上席コンサルタント 西田 耕太郎 Kotaro Nishida
(一般社団法人社会的健康戦略研究所 経営コンサルユニット 研究員)
2026.2.12
- 従業員の定着や生産性向上、ESG等の観点から、企業においてウェルビーイングや健康経営への関心が高まっています。
- 2026年1月から、ウェルビーイングISOガイドライン認定が開始されました。これは、日本が主導して策定した国際規格であるISO 25554:2024に準拠した認定となります。
- 本稿では、本認定の概要と特徴を整理し、今後の見通しや着目点を解説します。
1. 企業におけるウェルビーイングおよび健康経営への関心の高まり
近年、従業員の定着や生産性向上、ESG等の観点から、企業における健康経営やウェルビーイングへの関心が高まっている。経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」では、過去10年間、申請企業数が毎年増加し、年平均でおおむね1割程度の伸びが続いている。2025年には、大企業の4割(約10,500社のうち4,175社)が申請書類を提出するまで至った。
また大企業の中には、株式会社丸井グループのようにウェルビーイング担当役員を設置する企業も現れている。同社では、担当役員の下でウェルビーイングの取組みの一環として健康経営を推進している。ウェルビーイングと健康経営の定義は各企業において異なり、往々にして同義のものとされることもあるが、これらは企業の中で重要なテーマとして位置付けられるようになっている。
さらに、経済産業省は、SDGsの目標期限が2030年であることを踏まえ、次のグローバル・アジェンダとしてウェルビーイングを位置づける方針を国際的な場で発信している。こうした動向から、ウェルビーイングや健康経営への関心の高まりは企業から政府にまで及んでいることがうかがえる。
このような中、2026年1月にウェルビーイングISOガイドライン認定が開始されることとなった。今回、本稿稿では本認定制度について解説し、併せてこれに関連する国際規格ISO 25554:2024「高齢化社会 - 地域や企業等におけるウェルビーイング促進のためのガイドライン」(以下ISO 25554:2024)についても触れることとしたい。
2. ウェルビーイングISOガイドライン認定の概要
(1)国際規格ISO 25554:2024について
ウェルビーイングISOガイドライン認定について説明する前に、まずは国際規格ISO 25554:2024について簡単に触れておきたい。ISO 25554:2024は日本が主導して策定した国際規格であり、10年ほど前から検討が開始された。2021年から本規格の開発が進められ、2024年11月に発行された。
本規格は「高齢化社会 - 地域や企業等におけるウェルビーイング促進のためのガイドライン(Ageing societies - Guidelines for promoting wellbeing in communities)」として策定された。規格名称に「高齢化社会」が付されているが、高齢者のみのウェルビーイングや健康に限定した内容ではない。ISO(国際標準化機構)は、分野ごとに「専門委員会(Technical Committee: TC)」を設け、国際規格の策定を進めている。その1つである「TC314 Ageing societies(高齢化社会)」は、各国に共通する課題である高齢化の分野で規格策定を積極的に推進してきた。そして、同TCにて、ウェルビーイングおよび健康経営に関する規格化も進められた。本規格が「高齢化社会」を冠しているのは、こうした背景のもとで策定されたためである。
なお、本規格の詳細は、一般社団法人日本規格協会にて販売しているものとなるため、本稿でのご紹介は制定経緯に留めることとする。
(2)ウェルビーイングISOガイドライン認定の目的
ここからは、ウェルビーイングISOガイドライン認定およびその制度について解説する。本認定制度は、前述のISO 25554:2024に準拠して評価・認定するものであり、2026年1月に開始された。ウェルビーイングを推進するコミュニティ*を認定することで、「認定されたコミュニティの社会的信頼の可視化と対外的価値の向上」や「コミュニティ間の事例の共有促進」などを目的としている。
本認定制度は一般社団法人社会的健康戦略研究所が提供する。同法人は、関係機関と連携してISO 25554:2024の策定に従事した組織であり、その経験を活かして第三者の認定機関として本認定制度を運営する。
*コミュニティ:特定の企業・自治体を指すことや、部署・地域の公的な活動体を指すこともあれば、所属組織をまたがり、特定の目的や興味で集まる集団を指すこともある。
図1 ウェルビーイングISOガイドライン認定 制度の目的
(3)認定制度の概要
本認定制度においては、ISO 25554:2024に準拠したウェルビーイングISOガイドラインに基づき、ウェルビーイングの実現に向けた取組みの内容とそのプロセスについて確認する。ウェルビーイング促進活動が、持続的かつ包括的に設計・運用されているのか、第三者の立場から客観性・信頼性の観点で評価する。
図2 ウェルビーイングISOガイドライン認定 制度の概要
(4)認定の類型
本認定では、次の二つの類型が提供され、申請は①または②のいずれかの区分で行う。
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