電動キックボードユーザーの意識と運転の実態 ~アンケート調査結果より(2026年版)【リサーチレター(2026年4月)】
[このレポートを書いた専門家]

- 会社名
- MS&ADインターリスク総研株式会社
- 部署名
- 基礎研究部
- 執筆者名
- 主席研究員 新納 康介 Kousuke Niiro
2026.4.6
【要旨】
- 電動キックボードの運転の目的で最も回答が多かったのは、「趣味、遊びの場への移動」で55.8%であった。また、「運転を楽しむ」は34.0%であり、これは、新しいモビリティを楽しみたいユーザーが一定数存在することを示している。
- 回答者の電動キックボードの安全運転、交通ルールの理解度、交通ルールの遵守についての自己評価は高い傾向が見られた。「他のユーザーと比べて、電動キックボードを安全に運転できていると思うか」の設問では、「そう思う」と「ややそう思う」の回答の合計は84.8%となった。
- 一方で、電動キックボード運転時に「守れていなかったかもしれない」交通ルールについての設問では、「違反はしていない」とした回答者は34.4%であり、残りの65.6%は何らかの交通ルールを「守れていなかったかもしれない」と自己認識している。
- 「守れていなかったかもしれない」交通ルールで最も回答が多かったものが「車道の左側通行」で23.8%であった。「二段階右折」(18.0%)と「飲酒運転の禁止」(17.4%)がそれに続く。
- 「週に2~3回以上」電動キックボードを運転する回答者の36.2%、および電動キックボードに係る交通ルールを「詳しく知っている」回答者の26.2%が、「飲酒運転の禁止」を守れていなかったかもしれないと回答している。この点には注意が必要である。
- 電動キックボードの運転中に危険を感じたことはあるかについて、約6割が「ある」と回答している。具体的に危険を感じた事として最も回答が多かったのが「自動車と接触しそうになった」で、47.3%であった。
- 回答者の23.4%がシェアリングサービスの継続利用に否定的であった。その理由は、「電動キックボード自体が危険」(39.3%)、「必要性を感じない」(35.0%)が上位を占めた。
目次
1.調査の目的・背景
2.調査の概要
- 調査実施期間
- 回答者数
- 回答者属性
3.調査結果
- 電動キックボードの運転の目的と保有する運転免許
- 安全運転の認識、交通ルールの理解度、交通ルールの遵守
- 電動キックボード運転時に、「守れていなかったかもしれない」交通ルール
- 電動キックボード運転時の危険の認知
- シェアリングサービスの継続利用の意向
4.考察
- 電動キックボードの運転頻度と「守れていなかったかもしれない」交通ルール
- 電動キックボードに係る交通ルールの理解度と「守れていなかったかもしれない」交通ルール
5.まとめ
1.調査の目的・背景
2023年7月に道路交通法が改正され、一定の規格を満たした電動キックボード等は、道路交通法上の一般原動機付自転車から「特定小型原動機付自転車」という新たな区分に移行した。この電動キックボード等は、16歳以上で運転免許は不要、ヘルメットの着用は努力義務となっている。
手軽に利用できることから電動キックボードのシェアリングサービスは急拡大している。国内で稼働するシェアリング用電動キックボード※1は、法改正直後の2023年7月の7,662台から2025年3月には23,220台へと3倍超となり、現在もさらなる増加が見込まれている。国内大手シェアリング事業者のアプリダウンロード数は、2020年のサービス開始から2025年8月までに累計500万を突破した。
シェアリングサービスの急拡大の一方で、問題視されているのが、ユーザーによる交通違反である。2024年の特定小型原動機付自転車の交通違反の検挙件数は4万件を超えており、前述の稼働台数の1.8倍となっている※2ことが参院内閣委員会で指摘された 。※3
そのような状況の中、わが国の電動キックボードユーザーの意識やその運転の実態を把握すべく、MS&ADインターリスク総研は2026年1月にシェアリングサービスの利用経験者500人に対してアンケート調査を実施した。本稿では、本調査の結果およびデータ分析の結果について紹介する。
※1)公道で見かける電動キックボードの多くはシェアリングのため、事業者のデータが電動キックボードの普及実態に近い指標として使われる。
※2)2024年の自転車の交通違反の検挙件数は5万1千件で、保有台数は推定5千2百万台である。検挙件数に対する台数の割合を比較すると電動キックボードの検挙数の多さがわかる。
※3)「電動キックボード、違反が年4万件超 「登録台数の1・8倍。違反ありすぎ」立民・石垣氏」『産経新聞』2025年6月17日
2.調査の概要
(1)調査実施期間
2026年1月20日~26日の間にインターネットによる調査を行った。
(2)回答者数
500人(男性253人、女性247人)
20~29歳、30~39歳、40~49歳、50歳~59歳、の年齢4区分ごとに男女各125人。
(3)回答者属性
①電動キックボードを運転する頻度
| 頻度 | 人数 |
|---|---|
| 週に2~3回以上 | 116 |
| 週に1回程度 | 118 |
| 月に1回程度 | 83 |
| 月に1回未満 | 183 |
| 合計 | 500 |
②職業
| 職業 | 人数 |
|---|---|
| 会社員 | 309 |
| 会社経営・役員 | 15 |
| 公務員 | 23 |
| 自営業・自由業 | 31 |
| 団体職員・各種法人 | 4 |
| 派遣社員 | 12 |
| パート・アルバイト | 55 |
| 学生 | 18 |
| 専業主婦・主夫 | 20 |
| 無職(定年退職者を含む) | 13 |
| その他 | 0 |
| 合計 | 500 |
③ 居住地域
| 都道府県 | 回答者数 | 都道府県 | 回答者数 | |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 500 | 三重県 | 5 | |
| 北海道 | 15 | 滋賀県 | 5 | |
| 青森県 | 5 | 京都府 | 16 | |
| 岩手県 | 5 | 大阪府 | 45 | |
| 宮城県 | 12 | 兵庫県 | 21 | |
| 秋田県 | 5 | 奈良県 | 4 | |
| 山形県 | 1 | 和歌山県 | 1 | |
| 福島県 | 5 | 鳥取県 | 3 | |
| 茨城県 | 7 | 島根県 | 0 | |
| 栃木県 | 8 | 岡山県 | 3 | |
| 群馬県 | 5 | 広島県 | 12 | |
| 埼玉県 | 31 | 山口県 | 3 | |
| 千葉県 | 18 | 徳島県 | 2 | |
| 東京都 | 131 | 香川県 | 0 | |
| 神奈川県 | 37 | 愛媛県 | 1 | |
| 新潟県 | 8 | 高知県 | 1 | |
| 富山県 | 3 | 福岡県 | 16 | |
| 石川県 | 3 | 佐賀県 | 0 | |
| 福井県 | 1 | 長崎県 | 0 | |
| 山梨県 | 3 | 熊本県 | 2 | |
| 長野県 | 8 | 大分県 | 1 | |
| 岐阜県 | 5 | 宮崎県 | 2 | |
| 静岡県 | 12 | 鹿児島県 | 3 | |
| 愛知県 | 26 | 沖縄県 | 0 |
3.調査結果
(1)電動キックボードの運転の目的と保有する運転免許
①電動キックボードの運転の目的
最も回答が多かったのは、「趣味、遊びの場所への移動」で55.8%であった。また、「運転を楽しむ」は34.0%であった。これは、新しいモビリティを楽しみたいユーザーが一定数存在することを示している(図表1)。
【図表1】電動キックボードを利用するときの主な目的は何ですか(いくつでも)(n=500)


②回答者の運転免許保有状況
このコンテンツは約5分で読めます。
残り2266文字
この先は「続きを読む」を押してください。
本調査の回答者のうち、運転免許を保有していない回答者は5%であった(図表2)。
【図表2】あなたが保有している運転免許を全てお知らせください(いくつでも)(n=500)


(2)安全運転の認識、交通ルールの理解度、交通ルールの遵守
①他のユーザーと比べて電動キックボードを安全に運転できている/いない
「そう思う」と「ややそう思う」の合計は84.8%となっている(図表3)。
【図表3】あなたは他のユーザーと比べて、電動キックボードを安全に運転できていると思いますか(n=500)


②電動キックボードに関する交通ルールの理解度
「詳しく知っている」と「主なものについて知っている」の合計は87.8%となっている(図表4)。
【図表4】あなたの現在の電動キックボードに関する交通ルールの理解度についてお知らせください(n=500)


③電動キックボード運転時に交通ルールを守れていた/いない
「そう思う」と「ややそう思う」の合計は89.4%となっている(図表5)。
【図表5】あなたが電動キックボードを運転された時は、常に交通ルールを守れていましたか(n=500)


(3)電動キックボード運転時に、「守れていなかったかもしれない」交通ルール
本調査では回答者に電動キックボード運転時に、「守れていなかったかもしれない」交通ルールについて聞いた。「違反はしていない」とした回答者は34.4%であった(図表6)。つまり、残りの65.6%が何らかの交通ルールを「守れていなかったかもしれない」と自己認識している。
「守れていなかったかもしれない」交通ルールで最も回答が多かったものが「車道の左側通行」で23.8%であった。電動キックボードで車道の右側を通行することは通行区分違反とされる。「二段階右折」(18.0%)と「飲酒運転の禁止」(17.4%)がそれに続く。
【図表6】ご自身が電動キックボードを運転された時に、守れていなかったかもしれないと思う
交通ルールは何ですか(いくつでも)(n=500)


(4)電動キックボード運転時の危険の認知
本調査では、電動キックボードの運転中に危険を感じたことはあるかどうかについて聞いた。回答者の58.8%が「ある」としている(図表7)。
【図表7】電動キックボードの運転中に危険を感じたことはありますか(n=500)


図表8は電動キックボードの運転中に危険を感じたことがあるとした回答者に、具体的にどのような危険があったのかについて聞いた結果である。最も回答が多かったのが「自動車と接触しそうになった」で、47.3%であった。「歩行者と接触しそうになった」が29.9%と3番目に多かったが、これは、回答者が電動キックボードで歩道を通行した結果であることが推測される。
電動キックボードによる歩道通行は、「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識が設置されている歩道に限られる。加えて、歩道を通行するときは、歩行者優先で、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければならない。
【図表8】あなたが危険に感じたことは何ですか(いくつでも)(n=294)


(5)シェアリングサービスの継続利用の意向
本調査の回答者はシェアリングサービスの利用経験者であるが、すでにその利用を停止した回答者が5.4%であった(図表9)。継続利用の意向については、「そう思わない」と「あまりそう思わない」の合計が18.0%であった。回答者の23.4%がシェアリングサービスの継続利用に否定的、あるいは既に継続利用を停止したことになる。
【図表9】電動キックボードのシェアリングサービスを継続利用したいと思いますか(n=500)


図表10はシェアリングサービスの利用を停止した回答者、および継続利用の意向について「そう思わない」と「あまりそう思わない」とした回答者にその理由を聞いた結果である。「電動キックボード自体が危険」(39.3%)、「必要性を感じない」(35.0%)が上位を占めた。
【図表10】継続使用したいと思わない理由は何ですか(いくつでも)(n=117)


4.考察
(1)電動キックボードの運転頻度と「守れていなかったかもしれない」交通ルール
ここでは、図表6「ご自身が電動キックボードを運転された時に、守れていなかったかもしれないと思う交通ルールは何ですか」の結果について、運転頻度別の集計を行った(図表11)。その結果、運転頻度が「月に1回未満」の回答者の44.8%が「違反はしていない」と回答していることがわかった。
具体的な項目については、いずれも運転頻度が高い回答者ほど「守れていなかったかもしれない」という回答の割合が高くなる傾向が見られた。運転頻度が高くなるほど交通違反をしてしまう機会も増えるため、この相関関係は自然なものである。
【図表11】ご自身が電動キックボードを運転された時に、守れていなかったかもしれないと思う
交通ルールは何ですか(運転頻度別)


ただし、図表12の結果のうち、運転頻度が高い回答者ほど「飲酒運転の禁止」が「守れていなかったかもしれない」の回答率が高い点は、無視できない。これは、ユーザーが電動キックボードを運転する頻度と飲酒運転との間に正の相関関係がある可能性を示している。
警察庁によれば、2025年1月から11月末までに発生した、電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車が関わる飲酒事故は42件と、事故全体に占める割合は11.8%※4である。この飲酒事故率は、自転車の0.8%、一般原動機付自転車の0.6%と比べると10数倍となっている※5 。
※4)特定小型原動機付自転車関連事故に占める飲酒事故率は減少傾向にあるが、自転車、一般原動機付自転車と比較すると依然として高い水準であるとされている。
※5)また、警察庁は2025年上半期に発生した特定小型原動機付自転車の飲酒事故の62.1%が午前0時~5時の間に起きたとしている。図表1で示した電動キックボードの運転の目的として「終電後や飲食後の帰宅」が14.0%であった。これは、電動キックボードのシェアリングサービスの主な利用シーンの一つと考えられるが、飲酒運転が懸念される点でもある。
(2)電動キックボードに係る交通ルールの理解度と「守れていなかったかもしれない」交通ルール
ここでは、図表6「ご自身が電動キックボードを運転された時に、守れていなかったかもしれないと思う交通ルールは何ですか」の結果について、電動キックボードに係る交通ルールの理解度別に集計を行った(図表12)。その結果、電動キックボードに係る交通ルールの理解度と「守れていなかったかもしれない」交通ルールの回答割合との間に相関関係は見られなかった ※6。
なお、交通ルールを「詳しく知っている」とする回答者の4人に1人が「飲酒運転の禁止」と「車道の左側通行」について「守れていなかったかもしれない」と回答している。
※6)ルールを詳しく理解しているとした回答者の一定数が交通ルールを「守れていなかったかもしれない」としていることは指摘しておきたい。
【図表12】ご自身が電動キックボードを運転された時に、守れていなかったかもしれないと思う
交通ルールは何ですか(交通ルール理解度別)


5.まとめ
わが国の電動キックボードユーザーの意識やその運転の実態を把握すべく、MS&ADインターリスク総研は2026年1月にシェアリングサービスの利用経験者500人に対してアンケート調査を実施した。その結果、回答者の95%が運転免許を保有し、87.8%が電動キックボードに関する交通ルールを知っており、84.8%が他のユーザーと比べて電動キックボードを安全に運転できていると回答した。
一方で、回答者の65.6%が電動キックボード運転時に何らかの交通ルールを「守れていなかったかもしれない」と回答している。特に、「週に2~3回以上」電動キックボードを運転する回答者の36.2%、電動キックボードに関する交通ルールを「詳しく知っている」回答者の26.2%が「飲酒運転の禁止」を「守れていなかったかもしれない」と回答している点は無視できない。
ユーザーの増加に伴い交通違反の増加が懸念される一方、2025年8月にシェアリングサービス事業者らを中心に発足した日本マイクロモビリティ協会は、ユーザーへの交通ルール周知や飲酒運転対策に取り組んでいる。特に飲酒運転対策としては、深夜帯のサービス停止やポートでのアルコール検査の実証実験などが行われており、これらの取り組みの成果が期待される。
本稿が電動キックボード安全運転促進の一助となれば幸いである。
【参考文献】
警察庁(2025)『パーソナルモビリティ安全利用官民協議会第12回資料3』
警察庁(2025)『事務局説明資料 第13回パーソナルモビリティ安全利用官民協議会』
警察庁(2026)『事務局説明資料 第14回パーソナルモビリティ安全利用官民協議会』
警察庁『特定小型原動機付自転車に関する主な交通ルールについて』
日本マイクロモビリティ協会(2025)『日本マイクロモビリティ協会安全対策について』
PDFでもご覧いただけます