タイにおけるソンクラーン期間の交通事故リスクと安全運転の備え【InterRisk Thailand Report(2026年4月)】
[このレポートを書いたコンサルタント]
- 会社名
- InterRisk Asia (Thailand) Co., Ltd.
- 執筆者名
- Managing Director 江﨑 隼輝 Hayaki Ezaki
2026.4.3
- タイの新年休暇暇である4月中旬のソンクラーン期間中はタイ国内で交通機関が最も混雑する時期になっており、期間中は文化的背景から路面の濡れも発生しやすく、交通事故率は全国的に上昇する傾向がある。
- 事故統計によると、ソンクラーン期間中はスピード違反、車線変更、飲酒、疲労を主な原因とする交通事故が発生している。
- タイのソンクラーン期間中は、安全運転に向けた準備や車両の点検などドライバーが責任をもって運転に備えることが重要である。
ソンクラーンとタイの交通安全
毎年タイのソンクラーン祭り期間中は、何百万人もの人々が帰郷や旅行のため都市を離れ移動する。そのため、この時期はタイ国内の交通量が著しく増加し、交通機関や道路は最も混雑する。
このような旅行の急増は交通事故のリスクを高めるため、特にこの期間は「危険な7日間のソンクラーン期間」としてタイでは広く知られている。タイ道路安全指令センターの報告によると、この期間中では毎年全国で何千件もの事故が記録されている。
このため、タイのソンクラーン期間中の交通安全への意識醸成は優先されるべきであり、交通安全リスクを軽減し、誰にとっても安全な休日の旅行を確保できるように、適切な車両メンテナンス、運転準備、および責任ある運転行動が不可欠である。
タイのソンクラーン祭りにおける事故統計
タイ災害予防軽減局が毎年発表している公式データによると、2025年のソンクラーン (2025年4月11-17日) では計1,538件の事故が発生し、1,495件の負傷および253件の死亡が報告されている。
交通事故の多くは二輪車が関与しており、全報告件数の約83%を占めている。また、これらの事故の殆どは高速道路で発生しており、全体の約41%を占めている。事故のピークは午後3時から午後6時で、当該時間帯で事故発生件数全体の約21%を占めている。地域別では、事故件数と負傷者数の数が最も多いのはタイ南部のパッタルン県で、死亡者数が最も多いのはバンコクとなっている。これらの傾向は、ソンクラーン時期の道路交通量増加に伴う重大な危険性を浮き彫りにしている。
ソンクラーン期の交通事故の主な原因
道路交通事故防止・軽減対策指令センターによるソンクラーン中の事故の主な原因は以下のとおり。
| 1 | スピード違反 | 多くのドライバーは交通量が増える前に急いで故郷に着きたい思いで運転し、スピード違反が発生していると考えられる。長期休暇旅行に使用する高速道路や広い一般道路も通常期間の運転より早く運転したい気持ちを促進してしまう。また、高速運転での突然の車線変更や、混雑・渋滞状況への遭遇は事故危険度を増加させる。 |
| 2 | 飲酒運転 | 飲酒運転はタイのソンクラーンと密接に関連している。期間中に催される懇親会やパーティーでアルコールを摂取したドライバーがその後運転するケースも散見され、彼らは自身の反応時間や判断力への影響を過小評価している。混雑した状態の道路では、わずかな障害であっても重大な事故につながる可能性がある。 |
| 3 | 視界不良など | ソンクラーン中は、水かけ遊びによりフロントガラスや道路が濡れやすく、ドライバーの視界や車両のコントロールが低下する。同時に休日の交通量が多いことから、一部のドライバーは急な車線変更や前の車への割り込みを発生させる。これらの行動は、安全な車間距離確保を困難にし、衝突リスクを大幅に増加させる。 |
タイの陸運局と高速道路局からの追加報告によると、ソンクラーン期間中の交通事故の中でも二輪自動車が最も高い割合を占めている。
主な理由の1つは、二輪自動車は四輪自動車に比べて身体的保護がはるかに少なく、また、ヘルメットの着用は法律で義務化されているものの一部の地域、特にバイクタクシーの乗客等の間ではまだ浸透していない。これらの理由により、事故が発生した場合の重傷や死亡のリスクが大幅に増加している。
ソンクラーン期特有の危険要素
タイでは年間を通して交通事故が多く発生するが、ソンクラーン中には特殊な危険要素が生じる。
| 1 | 非常に多い交通量 | 通常の長い週末とは異なり、ほとんどのソンクラーン旅行は2-3日の短い期間に集中する。何百万人もの人々がほぼ同時に都市を出発するため、集中した移動は深刻な渋滞を引き起こし、衝突の可能性を著しく高める。 |
| 2 | アルコール摂取 | アルコールはソンクラーンと非常に密接しており、祭り中の飲酒などは一般的。パーティーなどの祝い事の直後に二輪自動車や四輪自動車で移動する人は少なくなく、少量のアルコールでも反応時間の遅れと判断力低下を生じる可能性がある。混雑した休日の道路では、事故のリスクが大幅に増加する。 |
| 3 | 濡れて滑りやすい道路 | 水掛け祭りはソンクラーンの最も有名な祭りであるが、多くの祝祭地域での道路は一日中長時間濡れた状態となる。濡れた路面はタイヤのグリップを低下させるため、制動距離が長くなることによりスリップや制御不能にするリスクがある。 |
| 4 | 長距離運転による疲労 | 長時間の連続運転は疲労を引き起こし、注意力を低下させ、決断力を遅らせる。疲れたドライバーは突然の交通状況の変化に対応することができず、事故の可能性が高くなる。 |