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緊急事態対応計画策定の指針 ―タイおよび国際基準に基づく緊急事態対応計画と事例― 【InterRisk Asia BCM Report(2026年3月)】

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[このレポートを書いたコンサルタント]

会社名
InterRisk Asia (Thailand) Co., Ltd.
役職名
Assistant Manager
執筆者名
堤 明正 Akimasa Tsutsumi

2025.3.30

要旨
  • 様々な事態が事業へ与える影響を軽減し、組織の継続性を維持するために、組織には緊急事態対応計画の策定が望まれます。緊急事態対応計画は日ごろの備えを強化し、混乱の未然防止にも役立ちます。ISO規格によれば、緊急事態対応計画の主な構成要素には、緊急対応チームの役割と責任、運用手順、目標、およびコミュニケーションなどが含まれます。
  • 緊急事態対応(Emergency Management)は災害などの緊急事態への即時対応に重点が置かれますが、危機管理(Crisis Management)は風評や組織の安定性への影響への対処が重要視されます。緊急事態対応計画は、体系的な運用を確保するためにこれら両方のアプローチを統合したものです。
  • 緊急事態対応計画は、組織や社会が事象へ迅速に対応し、損失を最小限に抑え、ステークホルダー間の信頼を築くことを可能にするツールです。関連するいずれの規格も、備えと継続的な訓練の重要性を強調している。

はじめに

組織や期間、そして社会にとって緊急事態対応計画を策定することは必要不可欠です。このような計画は、予期せぬ事態への迅速かつ効果的な対応を保証するだけでなく、損失を最小限に抑え、ステークホルダーの信頼を醸成するための重要な手段となります。タイにおける基準および国際基準のいずれも、準備態勢と対応力という同じ基本原則を重視しています。これらの基準では通常、明確な運用ガイドラインの策定、定期的な訓練、および計画の継続的な見直しが求められます。緊急事態対応計画により、実際の事態が発生した際に全ての関係者が体系的に行動し、混乱を避けて業務の継続性を維持できるようにすることができます。

緊急事態対応計画とは?

緊急事態対応計画とは、予期せぬ事態に対する備えと効果的な対応を確保するために策定された、体系的な枠組みです。事象の原因に焦点を当てる戦略とは異なり、緊急事態対応計画は事態がおよぼす影響と、影響への対処を重視します。 緊急事態とは、従業員、顧客、または一般市民に死亡や重傷をもたらす可能性のある予期せぬ状況を指します。また、事業運営を混乱させたり、物的・環境的損害を引き起こしたり、組織の財務的安定性や評判に脅威を与える可能性のある事象も含まれます。

緊急事態管理、危機管理、および緊急事態対応計画の関係

緊急事態管理、危機管理、および緊急事態対応計画はそれぞれ以下のように説明されます。

1.緊急事態対応(Emergency Management)

火災、洪水、重大な事故などの突発的かつ予期せぬ事象に対する、即時の対応を指します。その主な目的は、避難、救助活動、関係機関との連携といった迅速かつ体系的な行動を重視することで、人命や財産の損失を最小限に抑えることです。

2.危機管理(Crisis Management)

危機管理の手法では、組織の安定性や評判を脅かす状況に対処するために緊急事態管理よりも広い範囲を扱います。例としては、経済危機、サイバー攻撃、または重要人材の喪失などが挙げられます。危機管理は短期的な問題解決にとどまらず、戦略的計画、対外コミュニケーション、長期的な風評からの回復も含まれます。

3.緊急事対応計画(Emergency Plan)

緊急事態への対応を組織化し、混乱を最小限に抑えるために、あらかじめ策定された枠組みとして緊急事態対応計画は機能します。同計画には通常、避難手順、予備リソースの活用、および関係者間の連携などが含まれます。重要な点として、緊急事態対応計画は多くの場合、危機管理戦略や事業継続計画(BCP)と統合されています。それにより、組織のレジリエンスを強化し、業務の安定性を確保する包括的なシステムを形成します。

緊急事態管理、危機管理、および緊急事態対応計画はそれぞれ異なる概念ですが、密接に関連しています。これらは表1に示されるように、人命の保護、財産の保全、および組織の安定性を確保するために相互に補完し合い、連携して機能する3つのメカニズムとして作用します。

表 緊急時事態対応、危機管理、および緊急事態対応計画の比較
コンセプト 範囲と重点内容 機能
緊急時事態対応 災害発生時および発生後の、人々の安全と財産の保護に重点を置く。 計画、対応、および復旧を包含する継続的なプロセスであり、インシデントが発生する前に事前予防的な措置が講じられていることを保証する。
危機管理 組織の外部評価(レピュテーション)を守り、業務の継続性を維持し、ステークホルダーへの対応に注力する。 リアルタイムでの影響に対処するために、緊急の管理と迅速な意思決定を必要とする予期せぬ事態に適用される。
緊急事態対応計画 緊急事態対応および危機管理の両方を支援するツールとして機能する。

緊急事態対応計画策定の目的

緊急事態対応計画の策定目的は多岐にわたります。一般的に緊急事態対応計画は、不測の事態への体系的な対応を確保し、被害を最小限に抑えることに重点が置かれています。主な目的は以下のとおりです。

1.緊急事態の影響の軽減

人命、財産、および環境などへの被害を最小限に抑えつつ、事業復旧時間を短縮し、可能な限り早期に通常の操業体制へ戻れるようにすること。

2.対応態勢の強化

効果的なコミュニケーションおよび調整システムを組織内に備え、従業員が十分な訓練を受けて対応手順に精通するよう準備すること。

3.混乱とパニックの防止

明確なガイドラインを提供して危機的状況下でのストレスを軽減し、意思決定におけるミスを最小限に抑えること。

4.組織の継続性の維持

業務が混乱に耐え、迅速に復旧できることを確保すること。それによって組織への信頼性を高め、顧客やステークホルダーの信頼を築くこと。

国際規格に基づく緊急事態対応計画の主要構成要素

ISO 22332およびISO 22301に基づくと、事業継続のための緊急事態対応計画には以下の要素を含める必要があります。

1.計画の目的および目標

  • 緊急事態対応計画には、その目的と範囲、ならびに対象外事項が定義されます。
  • 従業員の安全、システムおよび業務の復旧、ステークホルダーとのコミュニケーション、ならびに組織への風評対策といった望ましい成果を確立し、関係者全員の共通認識を確保することが目標となります。

2.前提条件と利用可能なリソース

  • 緊急事態対応の前提条件には、予算の確保、バックアップサイトの存在、ならびに訓練を受けた人員などが含まれます。
  • 対応に必要なスタッフ、技術、施設、データ、サプライヤー、および輸送手段などの必須リソースが特定されます。

3.緊急事態対応チームと役割

  • 計画責任者、チームリーダー、メンバー、および代理者を含め、緊急事態対応における主要な責任、役割、および指揮系統を定義する。
  • 緊急事態対応チームの始動および対応完了の基準が明記されます。また、緊急事態の宣言およびチーム動員の手順も明記されます…

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