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危機管理とは何か 危機管理ガイド 【InterRisk Asia BCM Report(2026年3月)】

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[このレポートを書いたコンサルタント]

会社名
InterRisk Asia (Thailand) Co., Ltd.
執筆者名
Assistant Manager 堤 明正 Akimasa Tsutsumi

2025.3.30

要旨
  • 危機管理(Crisis Management)とは、混乱を引き起こす可能性はあるものの、即時の戦略的対応を必要としない「インシデント」とは異なり、リスクが高く緊急性の高い状況において、組織を主導・統制するための協調的な行動を指します。
  • ISO22361によれば、危機管理において明確なガバナンス、体系的な役割分担、強力なコミュニケーション、効果的な意思決定、そして危機への備えと継続的な改善を支える文化の重要性を強調する7つの基本原則が定められています。
  • 危機管理プロセスは、脅威の予測、リスクの評価、影響の防止または軽減、対応準備、危機の管理、および業務の復旧、そして得られた教訓に基づく継続的な改善を含む、体系化されたサイクルに従います。

はじめに

サイバー攻撃や自然災害、また風評被害など、組織が直面する脅威はますます予測不能なものとなっており、危機管理を強力に推進することの重要性が高まっています。現代の危機は、より急速に、かつより深い不確実性の中で展開するため、組織のリーダーたちは限られた情報のもとで、重大な影響をおよぼし得る意思決定を迫られています。この分野における専門家たちは、人や資産、そして組織の評判を守るために、体系的な危機管理戦略が不可欠であると強調しています。

危機管理とは?

ISO22361の定義によれば危機管理(Crisis Management)とは、組織を危機発生時に主導、指揮、および統制するための組織的活動です。危機とは、差し迫った急激かつ重大な変化を伴う不安定な状態であり、生命、財産、資源、または環境を保護するために、組織による緊急の注意と行動を必要とするものと定義されます。

危機とインシデントの違い

「危機」(Crisis)という用語は、単なるインシデント(Incident)に過ぎない事象を指すために誤用されることがよくあります。多くの組織では、これら2つの用語を依然として混同しており、それが計画策定や対応戦略の適切な活用に影響を及ぼす可能性があります。ISO 22361で定義されるインシデントとは、混乱、損失、緊急事態、または危機を引き起こす可能性のある、あるいはそれらにつながる可能性のある事象です。この定義は通常、深刻な脅威、高い不確実性、および時間的制約のある意思決定を伴う真の危機の特徴とは著しく対照的です。

組織がレジリエンスの枠組みを洗練させるにつれ、インシデントと危機を区別することがますます重要になっています。以下の表にまとめた比較から、両者の主な相違点、ならびに効果的な対応および復旧計画のために正確な分類が不可欠である理由が分かります。

表 インシデントと危機の比較

インシデント(Incident) 危機(Crisis)
予測可能な事象であることが多い。 多くの場合、予期せぬインシデントであるか、インシデント管理における重大な失敗の結果として発生する。
インシデントの影響のほとんどは、すでに研究され、予測されている。 危機の影響は複雑で予測が難しく、対応を誤ると組織の評価や評判に甚大な影響を及ぼす可能性がある。
対応策は通常、運用チームに重点が置かれ、短期的なものとなることが多い。 対応には戦略チームの関与が必要となることが多く、影響の解消には長い時間を要する場合がある。
事前の計画によって解決される。 柔軟性と創造性、および計画書に記載されていない手順が必要となることがある。

危機の発生要因

組織が急速に変化するリスクに直面する中、多くの組織が重要な問いを投げかけています。それは、「危機の真の原因は何なのか?」ということです。

危機はひとたび発生すると深刻な結果を伴い、経営陣による即時の対応を必要とする予期せぬ混乱から始まる場合があります。些細な問題への不適切な対応、および事業全般の不安定さも、小さな問題を重大な危機へと発展させる要因となり得ます。また、長年にわたり無視されている、または見過ごされている内部の問題が再浮上し、企業の評判や全体的な安定性に直接的な脅威をもたらすケースもあります。

事前の計画と強力な事業継続対策がなければ、些細なインシデントでさえも瞬く間に組織全体を巻き込む危機へとエスカレートする可能性があります。

図 インシデントおよび危機の進展(ISO22361)

図 インシデントおよび危機の進展(ISO22361)
図 インシデントおよび危機の進展(ISO22361)

危機管理の原則

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