CDPが環境テーマに「海洋」追加 2026年開示サイクルから|ESG環境情報開示の最新動向
2026.7.30
企業や自治体による環境情報開示を推進する国際的な非営利団体CDPは、2026年6月5日、2026年の企業向け質問書において、「海洋」関連項目を追加すると発表した。これにより「海洋」は、「気候変動」、「フォレスト」、「ウォーター」、「生物多様性」、「プラスチック」に続く6つ目の環境開示テーマとなる。CDPは、海洋が世界貿易や経済を支える一方で、海洋生態系の劣化が進み、企業、投資家、政策当局等の意思決定に必要な海洋関連データが不足していることを背景に、海洋に関する開示の拡張を進めるとしている。
新設・拡張される設問では、企業の海洋への依存、インパクト、リスク、機会に加え、目標設定、サプライヤー・エンゲージメント、取締役会レベルの監督、事業戦略・財務計画への影響、環境方針等が問われる。質問書上の位置付けを見ると、2026年時点では「海洋」に関連する追加・変更は限定的である※。
CDPのコーポレート完全版質問書は13モジュールで構成され、モジュール1〜6および13は各環境テーマに共通する統合モジュール、モジュール7〜11は「気候変動」「フォレスト」「ウォーター」「プラスチック」「生物多様性」の各テーマの環境パフォーマンス開示に特化したモジュールである(モジュール12は金融機関向け)。
2026年時点では「海洋」専用の環境パフォーマンス・モジュールは追加されておらず、「海洋」関連の追加は主に統合モジュールの既存設問への項目追加や選択肢追加として整理されている。例えば、取締役会・経営層によるガバナンス体制に関する設問群(4.1~4.4)では、海洋関連課題を経営レベルで管理・監督する体制の有無を確認する項目が追加された。
また、バリューチェーン・エンゲージメントに関する設問5.11では、海洋関連課題についてサプライヤー等のバリューチェーン上のステークホルダーと対話・働きかけを行っているかも確認項目に加えられている。
一方、企業の海洋目標に関しては新規設問が追加されている。具体的には、設問5.16「報告年度において有効な海洋関連目標の有無」と、設問5.16.1「貴組織の海洋関連目標およびその進捗状況の詳細」が新設され、目標の有無、設定していない場合の理由、目標のカテゴリー、関連する国際条約・イニシアチブ・枠組みとの整合、進捗状況等を問う構成となっている。
これは、CDPが海洋についても単なるリスク認識にとどまらず、目標設定とモニタリングを通じたマネジメントサイクルに関する開示を企業に促し始めたことを示唆している。
ただし、CDP2026の段階では「海洋」テーマはスコアリング対象ではないため、2026年における実務上の対応は、今後のスコアリング対象化や専門モジュール追加の可能性を見据え、自社事業と海洋との接点、海洋関連リスクのマネジメント体制、目標の有無を整理するための準備段階と位置付けられる。
※)CDP「CDP 2026質問書」2026年7月15日最終アクセス
https://myportal.cdp.net/guidance?locale=ja
【参考情報】
2026年6月5日付
https://www.cdp.net/en/press-releases/cdp-expands-environmental-disclosure-system-to-include-ocean-data-for-the-first-time
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