レポート/資料

第30号「安全文化を醸成するための方法について」

2020.4.1

要旨

  • 本稿では、企業などの組織の安全文化を醸成するために、現状の安全文化を把握する方法とその醸成に必要な手法について解説する。
  • また、安全文化醸成を実現するための具体的な活動を例示する。

1.安全文化とは

安全文化(Safety Culture)という考え方は、1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の原因・対策について検討を行っていたINSAG注1により作成されたレポートの中で初めて使用され、以下のように定義されている。

「全てに優先して原子力施設等の安全と防護の問題が取り扱われ、その重要性に相応しい注意が確実に払われるようになっている組織、個人の備えるべき特性および態度が組み合わさったもの」 (訳文出典:平成30年版 原子力白書)

上記のとおり「安全文化」は、最初は原子力の分野で使用されたが、日本国内では、様々な分野で事故災害が発生したことを契機として政府に設置された「事故災害防止安全対策会議」の報告書で初めて使用された。 この報告書の中では、安全文化について「『安全文化』の創造、すなわち組織と個人が安全を最優先する気風や気質を育てていくこと」と表現している。

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