
第20号「永続を目指す企業における「安全文化」の醸成」
2016.2.1
1.はじめに
工場等の事業場に伺うと、必ずと言っていいほど「安全第一」という標語が掲示されている。また、安全活動の基本である"経営トップの安全方針の表明"も大抵の企業が行っている。企業で働く多くの従業員も「安全第一」が重要というのは承知している。しかし、実際に工場等の職場に伺い現場を見ると、人手不足、時間が無い、効率化、教育不足等の理由およびその職場の雰囲気等により、個々の場面では従業員が安全を優先させた行動をとっていないケース・職場が多々見受けられる。
そういう職場で大きな事故が起きると、『企業の「安全文化」に問題があった』等の指摘・批判を受けることが最近では多くなってきた。
この、「安全文化」という言葉は、いつから使われるようになったのであろうか。1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所の事故の調査を行ったIAEA(国際原子力機関)の報告書において初めて"Safety culture"すなわち「安全文化」という言葉が用いられた。その後、原子力業界から航空・鉄道の運輸業界、医療、大規模化学プラント等の潜在的危険性の高い業種おいて論じられるようになり、最近では一般製造業等の労働災害においても使われるようになってきた。
今回は、「安全文化」という言葉が意味するもの、必要性および醸成方法等について紹介したい。
2.安全文化とは
最初に述べたように、「安全文化」という言葉は、チェルノブイリ原子力発電所の事故において調査を行ったIAEAによって初めて用いられた。
レポートを全て見る