
第4号 「労働安全衛生マネジメントシステムについて」
2012.2.1
1. はじめに
近年、安全衛生管理手法として、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)が注目されていますが、その背景として次のような点が挙げられます。
- わが国の労働災害の減少率が鈍化傾向にあること
- 現場における安全衛生活動が担当者任せになっている、災害発生後の事後対策を中心とする活動になっている等、安全管理に行き詰まり感があること
- 熟練社員の退職により、ノウハウが継承されず安全管理を担う人材不足が危惧されていること
- 産業の高度化などに伴い多様化するリスクに十分対応できないこと
このような状況の中、厚生労働省は平成11年にOSHMSの導入と普及に向け「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」を公表しました(本指針は、平成17年の改正労働安全衛生法によるリスクアセスメントの努力義務化に伴い、平成18年に一部改正)。
本稿では、OSHMSについて、導入状況、効果、特徴、構築時の考え方などをご紹介します。
2. 労働安全衛生マネジメントシステムの導入状況
厚生労働省から発表された「平成22年労働安全衛生基本調査」結果によると、OSHMSを導入している事業所は約7%となっており、5年前(平成17年)の前回調査時とほぼ同じ割合となっています。労働者数が1,000人以上の事業所においても、OSHMSの導入割合は約47%となっており、その普及は十分とは言えないのが現状です。また、事業所規模が小さくなるほど、導入率の低下傾向が見受けられます。図表1に「労働安全衛生マネジメントシステム導入の有無及び導入の予定別事業所割合」を参考に作成したものを示します。
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