2023年度 No.1「『長期の事業停止』に備える BCP の新たな潮流・BCTP 構築のすすめ」
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2023.8.1
要旨
- 本稿では、近年、危機が長期化・常態化し、危機の途中で事業の環境そのものが変化してしまう事態が発生している状況を受け、本稿では、「重要事業」そのものや、「重要事業」のやり方を、危機の途中で抜本的に変える「Transformation戦略」をオールハザード型BCPに追加した、BCTP(Business Continuity Transformation Plan)の概要を説明する。
- 上記説明は、主に「Transformation戦略」を大きく「3つの類型」に分類したうえで、類型ごとに戦略のイメージ、期待される効果、戦略の具体例、戦略構築のポイント等の項目に分けて実施する。
1.BCPにおけるTransformation戦略の必要性
BCP(Business Continuity Plan)は、企業等が危機に直面した際、企業全体の操業度の落ち込み幅を小さくし、復旧のスピードを上げることを目的に策定される。これまで、その目的は主に、企業等の「重要事業」に経営リソースを集中投入し、「重要事業」をいち早くもとに戻すことで達成してきた。
ところが、近年、大災害、感染症、サイバー攻撃など、危機が長期化・常態化することが当たり前になり、危機の途中で事業の環境そのものが変化してしまう事態も発生するようになってきている。そして、事業の環境が変化することで、これまでの「重要事業」が「重要事業」でなくなったり、これまでの仕事のやり方が通用しなくなってしまう事態が発生するようになってきている。
かかる状況のもと、従来の「重要事業」をもとに戻すことだけでは、企業全体の操業度を向上させる効果は期待できないため、今後は、「重要事業」そのものや、「重要事業」のやり方を、危機の途中で抜本的に変える「もとに戻さずに変革する」という戦略も必要となる。
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