レポート/資料

『特別警報』の運用開始と企業の対応【BCMニュース 2013年 第4号】

2013.9.1

0. はじめに

気象庁はこれまで、大雨、地震、津波、高潮などにより重大な災害の起こるおそれがある時に、警報を発令して警戒を呼びかけていた。これに加え、今後は、この警報の発令基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合、新たに「特別警報」を発令し、最大限の警戒を呼びかけることとし、平成25年8月30日から運用が開始された。
 本稿では、「特別警報」について理解を深めるとともに、発令時の企業の対応について検討する。

1. 「特別警報」とは

気象庁では従来、気象要素(雨量、風速、波の高さなど)がある基準(地域ごとに異なる)を超え、「災害が起こるおそれ」のある時には「注意報」を、「重大な災害が起こるおそれ」がある時には「警報」を出し、順次警戒を呼びかけてきた。また、特に人命安全の観点からリスクが高い災害については、「記録的短時間大雨情報」、「土砂災害警戒情報」、「大津波警報(2013年3月7日までは津波警報(大津波)の呼称)」、「噴火警報(居住地域)」等の災害気象情報(以下、「リスクの高い警報」と呼ぶ)を追加で発表し、その危険性を呼びかけてきた。しかしながら、平成23年の東日本大震災、平成23年台風第12号、平成24年7月九州北部豪雨などの過去の大災害の事例を見ると、これら「リスクの高い警報」が発令されたにも関わらず、必ずしも住民の迅速な避難には繋がらず、多くの人命が失われるという事態が起きている。(表1)

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