地域金融機関におけるBCPの課題と対策【BCMニュース 2013年 第2号】
2013.5.1
はじめに
日銀が2013年1月に発表した「業務継続体制の整備状況に関するアンケート(2012年9月)調査結果」によると、定期的に見直しされているかどうかはさておき、アンケートに回答したほとんどの金融機関が業務継続体制を整備済みと回答している。また、回答した金融機関のほとんどが、東日本大震災後に業務継続体制(BCP/BCM)を見直ししているなど、他業種と比較して、金融機関におけるBCP策定の取り組みは先行しているように見える。しかしながら、このアンケートの対象には含まれていない信金・信組を含めて地域金融機関全体の現状を見ると、その取り組み状況は一様ではなく、業務継続体制の整備進捗に開きが出始めている。具体的には、震災後の2011、2012年度から改めて見直し始めた地域金融機関もあれば、まだ重要業務も明確に定めていない地域金融機関もある。また、業務継続体制の整備といっても、既存のマニュアル等の資料を単にとりまとめた程度のBCPを整備し、これに備蓄品・非常用通信機器等の購入・ハード対策を加えただけで、ある程度安心してしまう傾向があるようにも思える。本来は、そこで安心せず、継続的に業務継続体制の整備をしていくことが求められる。この段階にある地域金融機関がその先目指すべき方向は2つある。一つは訓練等によって実効性を高めること、もう一つはより精度の高いBCPに"仕立てて"いくことである。
実効性向上のための教育や訓練などについては、別の機会に譲ることとし、本稿ではBCPの"仕立て"に重点をおいて説明する。特に地域金融機関にフォーカスし、地域金融機関に共通のBCPの課題に触れ、一歩でも前に踏み出すための材料を提供したい。それには、ハードルは多少高いが、既存の資料をとりまとめた程度のBCPから軌道修正をしていくことが求められる。また、地域金融機関だからこそできることは何かについても軽く触れてみたい。
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