レポート/資料

サプライチェーンの中断に備えた事業継続戦略【BCMニュース 2011年 第9号】

2012.1.1

1. 東日本大震災によるサプライチェーンの中断

日本企業のサプライチェーンは、様々な取引先企業により構成され、海外にまで広がっている場合も多い。また、様々な顧客の要望に迅速かつ安価に応えるため、アウトソーシング、請負、派遣などの形で多くの企業が日常業務に関与する仕組みが出来上がっている。

このため、2011年3月11日の東日本大震災は、多くの企業のサプライチェーンに混乱をもたらし、その影響は、被災地や日本国内に留まらず、全世界的なものとなった。

当社が2011年8月~9月に行なった国内上場企業の事業継続マネジメント導入実態調査(以下第5回調査)の結果によれば、回答した企業の74.8%は東日本大震災による影響を受けている。また、約3社に1社強は、取引先の操業停止などで調達・供給が困難となったことがわかった(図1)。

このサプライチェーン中断のリスクは、日本企業においても認識されていた。当社が2010年7月~8月に行った第4回国内上場企業の事業継続マネジメント導入実態調査(以下「第4回調査」)の結果によれば、取引先が事業継続計画を持つことが必要だと考える企業は、国内上場企業の86.9%と、約9割に達していた。しかしながら、実際に取引先に具体的な働きかけを進めている企業はまだ少数にとどまっており(図2)、このことが、東日本大震災における影響の広がりの一因と思われる。

2. 東日本大震災における対応事例

サプライチェーンに混乱が生じた場合、その解消には一定の時間が必要になる。その間、自社の事業停止を防ぐためには、原材料などの在庫を準備しておくことが1つの方策である。また、自社の供給責任を果たすために、出荷前の完成品在庫を戦略的に積み増しておくことも考えられる。

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